福岡大学で学び、挑戦し、夢を追う学生たちに迫るインタビュー企画、「ふくらませ、大胆に。」
学びに向き合う姿勢や将来への想い、日々のキャンパスライフを通した一人一人の個性と成長をお伝えします。
原心暖さん(経済学部経済学科3年次生)は、福岡大学のストリートダンスサークルXTRAの部長を務めている。部員の数は約250人。学内サークルの中でも屈指の大所帯だ。
小学生の頃、妹と通い始めた地元のダンススクールでヒップホップと出会った。とはいえ、中学生までは「好きだけど、本気で打ち込むほどではない」。そんな距離感だった。


その気持ちが大きく変わったのは高校生の頃。入りたい部活が見つけられなかった彼女は、友達に声を掛け、ダンス部を立ち上げたのだ。
予想を超える20人ほどが集まり、彼女は初めて“教える立場”に。先生から教えられたように踊るのではなく、自分で振り付けを考え、チームをまとめながら、作品を作り上げる楽しさに目覚めた。演者から演出する側へ。ダンスはいつしか“自分の挑戦そのもの”になっていった。
大学選びは、親友の存在が大きかった。将来像が定まらない中、「潰しが効きそう」と経済学部を選んだものの、入学後に思わぬ壁にぶつかる―数学である。
「高校時代はダンス一色で、勉強は二の次。しかも数学の選択科目を取らなかったことを、本気で後悔することになりました」。
不安はそれだけではない。高校時代はダンス仲間とばかり過ごしてきた。踊らない人たちと仲良くできるのか、親友と呼べる関係を築けるのか―そんな心細さを抱えたまま学部説明会に参加。しかしそこで、思わぬ自分に出会う。
「今思えば、危機感を覚えるほどの不安でした。でもその不安のお陰で“めちゃくちゃ攻撃力が高い人”になれたんですよ」と笑う。
声を掛けられるのを待つのではなく、自分から積極的に友達をつくりにいく。その一歩が、意外なほどあっさりと仲間との出会いを引き寄せた。
仲間は、学びの場で大きな支えになってくれた。テスト前は6人ほどで集まり、分からないところはその場で質問し合う。互いの強みに頼ることで理解が深まり、「できるようになった嬉しさ」が学ぶ意欲を強く後押しした。
転機となった授業もある。担当は“厳しい”と噂されるミクロ経済学の先生。恐る恐る質問に行くと、実例を挙げながら一つ一つ丁寧に説明してくれた。
地元のものを使えば、利益がその地域に返る。その仕組みを数式で説明できることが新鮮だった。実家が自営業という背景もあり、学びは現実の風景と結び付く。
「将来、自分で何かをやるときにも、これ絶対使えるなって思いました」。“学びが自分の人生側に移動してきた瞬間”だった。


大学生活の中心にあるEXTRAは、九州地区でも強豪として知られる。大学から始めたハウスは、ジャンル体験会での先輩の一言からだった。
「やってみなよ」。
不安を伝えると「教えてあげる」と背中を押され、月1回の基礎練習に参加。そこで、嫌いだった“基礎”が、踊りの自由度を広げる面白さへと変わっていった。
体の角度、重心の置き方、ステップが“決まらない”理由を考える。分解し、理解し、積み上げていく-そのプロセスが彼女をダンスバトルで上位に押し上げた。
観客の輪に囲まれ、音が鳴った瞬間にスイッチが入る。ステップがはまる。視線がぶつかる。空気がひりつく。勝敗以上に、“自分と向き合う瞬間”がそこにある。
その姿勢は、サークル運営にも深く根を下ろす。
全体のLINEで決定事項を流すと、不満の声が返ってくることもある。押し切ることもできる。しかし、彼女はそれをしない。
「不満があるまま踊るのは嫌なんです」。
一度受け止め、幹部と相談し、落としどころを探す。全員が満足する答えなどないことを知りながら、それでも向き合う。いつしか、自分が正しいか”よりも“みんなが前を向けるか”を考えるようになっていった。
将来はホテル業界を目指している。実家のラーメン店での接客を通して、人に喜ばれる仕事のやりがいを実感しているからだ。「誰かを笑顔にできることが、自分のパワーの源だと気付いたんです」と語る。
インターンや説明会では、心に残った言葉遣いや所作をすぐ真似してみる。「人の良いところを盗むの、得意かも」。ダンスのお陰で身体に染み付いたスキルだ。
一つ一つを吸収し、自分の形に変えていく。その延長線上に未来があると感じている。
彼女は、大切に積み上げてきた“自分のステップ”で、次の一歩を踏み出そうとしている。


【関連リンク】
・公式Instagram(「ふくらませ、大胆に。」別企画掲載)
・経済学部ウェブサイト
