福岡大学で学び、挑戦し、夢を追う学生たちに迫るインタビュー企画、「ふくらませ、大胆に。」
学びに向き合う姿勢や将来への想い、日々のキャンパスライフを通した一人一人の個性と成長をお伝えします。
高校時代、強豪チームでハンドボールに打ち込んだ小宮彩蒼さん(商学部経営学科3年次生)。オリンピック出場を目指し、全国大会出場や国体選抜という経歴を持つが、度重なる怪我によって、競技人生は思いがけず幕を下ろした。
スポーツから離れた彼女の関心を引いたのは「ファッション」だった。きっかけは、現役時代から漠然と感じていた違和感。「アスリート体型に合う服って全然見つからないんです」。
スポーツをする女性が、無意識に“着られるもの”だけを選び、“好き”を諦めている現状がある。それを変えたいという思いが、彼女に起業の道を意識させた。
「その思いを本気で実現するなら、経営を学ぶべきだ」。そう考え、福岡大学の商学部に進学。ただ、専門知識を学べば学ぶほど、理論に基づいた社会での実践の重要性に気付いていく。
彼女はまず、環境に甘えて何も行動できていなかった自分を変えようと、福岡の次世代のリーダーを支援するプロジェクト「ネオアカデミア」に応募した。そこで、企業人や他大学の学生と本音で議論し、課題を見つけ解決に挑んでいく。印象に残ったのは、「百考は一行に如かず」という講師の言葉だ。
「失敗することが怖くて、完璧じゃなきゃ動けなかった。でも、動きながら形を整えればいい。そう考えられるようになったから、一歩が踏み出せるようになったんです」。以来、初対面の企業人にも自ら声を掛け、壁打ちの機会を得るなど行動力が育っていくことになる。
その行動力は、大学での学びのエンジンにもなった。3年次に参加したゼミでは、飲食も小売も未経験ながらマルシェに挑戦。「手探りでもいい、何がなんでも“黒字”を」を合言葉に、目標を達成した。
「事業は計画性が大事、でも動きながら整えることも同じくらい大事」。その学びは、事業のPDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を体で実感したからこそ得られたものだ。計画どおりにいかない現場で、軌道修正しながら成果を出す難しさと面白さ。
ゼミで学んだ「心理的安全性」や「チームビルディング」の意味も、現場での実践を通じて腑に落ちてきた。
「大学はただ勉強するだけじゃなく、社会と接点を持てる場所。自分の可能性を試せる“場”が無数にある、人生のボーナスステージみたいだなと」。
大学での学びと挑戦の中で、夢はより具体的になった。競技生活を支えるウェア、日常に寄り添う服、そして“好き”を表現できる選択肢を届けたい。
その第一歩として、今はSNSで自らを発信し、共感してくれる仲間を少しずつ増やしている。「将来は、アスリートとファッションの間にある“壁”を無くす存在になりたい」。そう語る彼女の眼差しの先には、自ら動いて切り拓く未来がある。
【関連リンク】
・公式Instagram(「ふくらませ、大胆に。」別企画掲載)
・商学部ウェブサイト