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キャンパスライフ

【ふくらませ、大胆に。】キャンバス越しに自分を見つめることで気付いた、多面性を見る目

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福岡大学で学び、挑戦し、夢を追う学生たちに迫るインタビュー企画、「ふくらませ、大胆に。」

学びに向き合う姿勢や将来への想い、日々のキャンパスライフを通した一人一人の個性と成長をお伝えします。


「自分が描くなんて、想像もしませんでした。高校まで絵とは無縁だったんです」。

そう語るのは、美術部幹事の楫野璃音さん(人文学部日本語日本文学科3年次生)。音楽一家で育ち、中学・高校でサックスを吹いていた彼が、今はキャンバスに向かい、身長よりも大きな絵と格闘している。

大学1年の秋、好きな漫画家が美大出身と知り、「表現の幅を広げたい」と美術部の扉を叩いた。部内に知り合いはいない、絵の経験もない。だが、「やってみたい」という衝動が勝った。

最初にぶつかったのは、ゼロから何かを生み出すという、これまでにない体験だった。

「吹奏楽は楽譜という“正解”があるけれど、絵は違う。唯一の正解がない中で、自分の内面と向き合い続けることが想像以上にしんどくて」。

それでも人文学部で学んだ近代文学や、マインドマップによる思考整理、デッサン教室での練習などを頼りに、何とか1枚1枚を描き上げていく。その過程で、自分でも知らなかった感情や視点に出会い、やがて「もう一人の自分と対話しているような感覚」が芽生えてきたという。

表現することは、自分の中にいた“これまで見てこなかった自分”と向き合うことだった。

そしてそこでの発見が、絵を描くことへの大きな原動力になった。

そうして絵を描くこと、表現することに夢中になっていた大学2年の冬。約90人の部員を抱える美術部の幹事に就いた。「幹事は忙しくて絵を描けない」という現実を目の当たりにし、疑問を持つ。

「美術部なのに、絵を描けない幹事に意味はあるのか?と思ったんです」。

美術部員である以上、筆を取り続けながら改革を始めた。

運営を進める中で見えてきたのは、「90人もいれば、表現のスタイルも、絵に向かう姿勢も、人それぞれ」という事実だった。中には毎日絵を描く人もいれば、月に一度の人もいる。何を描くかも、なぜ描くかも、みんな違う。そうして部員一人一人に対して“これまでしていなかった見方”ができるということに気付いた。

役割分担を見直し、誰もが制作時間を確保できる体制の構築。美術部に所属しているからには作品は作り続けてほしく、作品提出のルールを設定。部内に滞っていた、緩んでいた空気を入れ替えたいという思いから、いくつもの提案を行った。作品を作り続けながらも、積極的に部内改革を提案する幹事に、多くの同級生や後輩たちが賛同し、支えてくれた。次第にアトリエには活気が戻り、今ではイーゼルが隙間なく並ぶ。

表現を通して、自分自身これまでと違った見方ができるようになった。部の運営を通して、他人を一つの見方で見ることをやめた。そうして“一つのことにも、幾つもの見方がある”ことを実感するようになった。

今では、昔から読んでいた漫画も、全く違った視点で楽しめる。

物事を多面的に見るという力は、表現することでも、人とつながることにも、関わりを豊かにしてくれる。

「将来は、本の装丁や音楽ジャケットなど、“誰かの表現を支える”デザインの仕事がしたい」。自分の世界を描きながら、誰かの世界を形にする。そんな未来を思い描いている。

現在、七隈祭に出店する100号のキャンバスに挑戦中。

「昨日の自分より、今日の自分に勝てているか。それが僕の指針です」。

【関連リンク】
公式Instagram(「ふくらませ、大胆に」別企画掲載)
人文学部ウェブサイト

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今までの 物差しを捨てて、夢を可能性を、さぁ、「ふくらませ、大胆に。」