福岡大学で学び、挑戦し、夢を追う学生たちに迫るインタビュー企画、「ふくらませ、大胆に。」
学びに向き合う姿勢や将来への想い、日々のキャンパスライフを通した一人一人の個性と成長をお伝えします。
「高校生の頃から“海外”に漠然と憧れがあって」
下瀬里帆（法学部経営法学科2年次生）さんは笑みを浮かべながらも力強く語り出した。外国語を巧みに操ることや海外で働くこと、遊びも含めて広く活動することに興味があった。海外の法律にも関心があり、国際的な法律を学べる環境を求めて、経営法学科に進学した。
入学当初はホームステイや海外研修への参加を思い描いていたが、実際に海外に渡ることになったのは、思いがけない“よさこい”がきっかけとなる。
大学1年次の6月、YouTubeで偶然目にした社会人よさこいチームの映像に惹かれ、思い切って飛び込んだ。
踊り子だけで50人、全体で70人を超える大所帯の中で、大学生は彼女一人。
「年齢も価値観も違う人たちばかりで意味分からず、最初は本当に怖かったです。でも、学生というフラットな立場で社会人と対話できることは楽しくて。中でも、『計画どおりの人生なんて面白くないよ』という先輩の言葉は、座右の銘になりました」。
夢に向かって挑戦し、時に失敗しても、必ずそこに価値がある。そんな言葉に支えられながら、彼女は自分自身と向き合い続けることになる。
「もともと踊ることは好きだったんですが、“よさこい”は想像以上に本気の世界でした」
週2回行う体育館での練習。演目は2年がかりで仕上げる本格派。求められるのは踊りの角度、手の高さ、表情の一致…。ダンス経験者の彼女ですら戸惑うばかり。
「はじめは隅っこで踊る役回りでした。でも、私、負けず嫌いなんです。上手くなって、一番前で踊りたいって本気で思いました」
彼女の不断の努力が実を結ぶ日は突如訪れる。トロントで行われる「カナダ・ジャパンフェスティバル」の選抜メンバーに選ばれたのだ。50人超のチームから選ばれた踊り子はわずか5人。
「自分で掲げた目標を、自分の力で叶えたのは人生で初めてでした。あの瞬間、涙が止まりませんでした。ゆっくりと頬を伝う涙が、これまでの私を労っているように感じました」
そして同時に、高校時代に思い描いていた「海外に関わる活動」が、思いがけない形で現実になった瞬間にもなった。
この体験が、その後の彼女の価値観を大きく変えることになる。昔は夢を持っても「どうせ無理」と、はなから諦めがちだった。しかし今は違う。
「頑張ればいけるかも」と前向きに考えられるようになったという。
「カナダで“日本文化の魅力”を伝えるんだって思ったとき、自分が何をしたいのか、どんな風に人の心を動かしたいのかが見えてきました」
“よさこい”に挑んだことで、人との関わり方も変わった。それまでは、初対面の人と話すことが苦手だったが、今では講義やゼミ、バイト先でも堂々と話し、自分を出せるようになったという。
きっかけは何だっていい。「これ面白そう」と、思い切って一つ始めること。YouTubeで見た“よさこい”に飛び込んだことが、夢が叶うきっかけになったように。
将来については模索中だが、「人前に立つのが好き」「誰かの気持ちを動かしたい」という思いが、少しずつ輪郭を帯びてきた。
「“人にエネルギーを与えられるような人になりたい”って思うようになったんです」。愛用の“よさこい”鳴子を片手に、彼女は笑顔でそう語る。
【関連リンク】
・公式Instagram（「ふくらませ、大胆に。」別企画掲載）
・法学部ウェブサイト
