福岡大学で学び、挑戦し、夢を追う学生たちに迫るインタビュー企画、「ふくらませ、大胆に。」
学びに向き合う姿勢や将来への想い、日々のキャンパスライフを通した一人一人の個性と成長をお伝えします。
「楽しいことは全部やる」。
西山妃織さん(法学部経営法学科2年次生)の大学生活は、その言葉に導かれている。
「大学生になったら、絶対留学したいと思っていた」。小学生から高校生まで続けたピアノにも一旦区切りをつけて、アメリカの最高裁判所なども見学できる海外研修プログラムがある福大法学部入学を目指した。


念願叶った春、フォークソング愛好会が主催する新入生歓迎のステージでバンド演奏を目にする。「楽しそう!」と心が躍った。「やってみたい!」。キーボードを演奏するその人が、自分と重なって見えた。
心が動いたら、やってみる、すぐに。その足でフォークソング愛好会に飛び込んだ。1人で楽譜と向き合ったピアノとは違い、メンバーと共に音色を模索する日々。「昨日より今日、今日より明日って、音の感触が変わっていくのが楽しくて」。演奏に加えて機材の設営や調整も全て自分たちで担う。ステージを作り上げる裏方の面白さも知ることになる。
総勢200人超が集まるフォークソング愛好会は個性のるつぼだ。「将来歌手を志す先輩や、作曲して発表する人、学外のライブに出る同期もいる。それぞれが本気で熱量が高い。没頭できる人が近くにいると、自分も動かなきゃと火がつくんです」。
2年次にはステージセッティング班のチーフに就任。音響装置や楽器をセッティングし、自分たちが目指す音を観客に届ける。ステージには無くてはならない裏方集団だ。後輩を指導する大役も担いながら、その重みをポジティブに楽しんでいる。次は学外でのライブにも挑戦する予定だ。


音楽活動と共に、彼女の積極性を飛躍させたのが、福大を選んだ理由でもある「留学」だ。1年次の夏、早速研修プログラムに参加した。行先はシアトル。シアトル大学やさまざまな企業で法律、政策や社会制度について学び、現地の人々と一緒に暮らす2週間。「最初は不安でしたが、“本物の英語”に意外とすぐに耳が慣れて、日常生活で普通に話せたんです」。ホームステイ先では家族と英語で語らい、企業訪問では英語で質問をぶつけた。英語でコミュニケーションを取ることの楽しさを、心から実感した。
「最初に“Hi!”と言えれば景色が変わる」。
行動が結果を連れてくる感覚は、帰国後の授業にも広がっていく。ネイティブ教員とのディスカッションでは、英語で理解し、考え、伝える循環が日常になっていく。
実は、留学プログラムに惹かれ入学したものの、自分の将来の姿を思い描けず悩んでもいた。そんな彼女に法学の学びは、目標を与えてくれた。ゼミの裁判所見学で、外国人当事者を支えるパラリーガル(法律事務職員)の姿を見る。法律の知識と英語力の両方が生かせる仕事に出会った瞬間だ。
「言葉の壁を越えて、困っている人に寄り添うんだ」。留学の手応えと講義の内容が一本の線で結び付き、「外国人にも対応できるパラリーガル」という将来像が輪郭を帯びる。「英語はもっと磨きます。文書作成や証拠整理に必要なPCスキルも身に付けておかないと、と思っています」。目標が定まったことで必要な準備が体系的に見えてきた。
音楽、留学、授業、アルバイト。忙しい毎日の中心には「楽しいこと」がある。やりたいと思ったら挑戦し、その積み重ねが彼女を育てている。「昨日より今日、今日より明日」。そんな実感が、彼女をさらに前へと駆り立てる。楽しむことを原動力に、夢は一層ふくらんでいくのだろう。


【関連リンク】
・公式Instagram(「ふくらませ、大胆に。」別企画掲載)
・法学部ウェブサイト