福岡大学で学び、挑戦し、夢を追う学生たちに迫るインタビュー企画、「ふくらませ、大胆に。」
学びに向き合う姿勢や将来への想い、日々のキャンパスライフを通した一人一人の個性と成長をお伝えします。
阿部遥人さん(経済学部産業経済学科4年次生)が起業やビジネスに興味を持つようになったのは、受験勉強のさなかだった。国語や英語の参考書に掲載されていた長文読解問題。そこに引用されていた革命家や起業家の、「社会を変えた」ストーリーが心に残った。
「社会を変える『志』って、結構そそられるな」。問題そのものよりも、彼らの生きざまが強く印象に残ったという。
志ある人が集まる街というイメージを抱き、東京にある大学への進学も視野に入れた。しかし、大学や現場に近い距離感で「起業」や「ビジネス」を学べるのではと、地元‧福岡にある福岡大学経済学部産業経済学科を選んだ。


転機となったのは、1年次に履修した「ベンチャー企業論」だった。地域の中小企業と連携し、課題解決に向けた取り組みを実践的に学ぶ中で、自分の考えが業績という「数字」に反映される経営の面白さに惹かれていく。
学科のゼミでの出会いは、さらに彼の視野を広げた。3・4年次の先輩の中には、ブロックチェーンをはじめとするWeb3技術の将来を語り、その可能性をビジネスにどう結びつけるかを議論する学生がいた。同世代でありながら、自分にはない視点を持ち、すでに挑戦している姿を見て、背中を押された。
「世界が一気に広がった感覚でした」。
その出会いは、インターンという次の挑戦へとつながっていく。行政によるスタートアップ支援が充実する福岡では、起業家や投資家、企業に関心を持つ人々が集まり、横のつながりを生むイベントが数多く開催されている。
ある起業系イベントで出会ったのは、九州で養豚やWeb3など多業種に渡る会社を営む経営者。そのビジョンに共鳴し、同社の養豚部門のECサイト立ち上げというミッションを任されることになる。
学生インターン向けに用意された業務ではなく、新規事業の立ち上げというリアルな企業活動。商品は豚肉。それまでBtoB中心だった販路を、BtoCへと広げる挑戦だった。オンラインショップの運営経験者はおらず、手探りのスタートだった。
養豚場の現場体験も経験し、そこで得た一次体験を起点に、商品の企画、生肉の撮影、ホームページやEC店舗の制作運営、お客様対応まで一気通貫で担当する。販路拡大と売り上げ向上に必要な業務を全て担った。
彼は、生成AIを相棒に独学でミッションに挑み、試行覚悟を続け、社内外の先輩や大人の力を借りて努力重ねた。それはやがて、「数字」という成果となって現れ始める。「会社のお金を動かして、その反応がダイレクトに返ってくる面白さを実感した」と振り返る。
心が動く方へ、恐れずに手を伸ばし、新鮮だと感じたことを貪欲に学び続ける。その積み重ねの中で、自分の興味の輪郭が次第に明確になっていった。


人とのつながりは、学内外へと広がっていく。経済学部には、社会人学生も多く在籍している。会社を経営しながら学ぶ人も少なくない。例えば彼が、例えば彼が、AI研修ビジネスの立ち上げを模索していた時には、ビジネスモデル構築の助言や、人脈の紹介を惜しみなく与えてくれた。
「先生や人生の先輩方がめちゃくちゃ応援してくれる。大学のこの環境が“異常”にいいなと思いました」。
ECサイト立ち上げを通してビジネスの面白さを知った彼は、次にベンチャーキャピタル(VC)でのインターンに挑戦する。若い起業家が資金集めのためにピッチを繰り広げるイベント「TORYUMON」では、協賛金集めから企画調整、当日の運営までを担当。
起業人生がブーストするような資金調達達成や志を共にできる仲間との出会いを目の当たりにし、「ビジネスの裏にある人の思いが、より鮮やかに見えるようになったんです」と語る。自分もプレーヤーになりたいと、興味の幅をさらに広げていく。
VCでのインターンを通じて出会った、ベンチャー企業の管理会計実務を研究するゼミの先生に後押しされ、共に香港と深圳を訪れた。香港では、香港科技大学が主催するスタートアップショーケース「Unicorn Day」を視察。深圳では福岡大学OBの起業家を訪ねた。自動運転やドローン配送が日常に溶け込む光景に触れ、「これを生み出しているのがスタートアップだと知り、胸が熱くなった」と振り返る。
「日本ではまだ未来の話だと思われていることが、中国深圳ではすでに社会実装されていました。彼らが自分たちの事業やその可能性の広がりを強く信じている姿に、衝撃を受けました」。
若い世代の精神性と経済力を底上げし、日本の影響力を高めたい。そうした思いが、彼の中で確かな意志として芽生えている。
社会を変える当事者になりたい。その思いを軸に、数々の出会いと実践に支えられた学生時代を経て、彼は新たな舞台へと進んでいく。


【関連リンク】
・公式Instagram(「ふくらませ、大胆に。」別企画掲載)
・経済学部ウェブサイト
