福岡大学で学び、挑戦し、夢を追う学生たちに迫るインタビュー企画、「ふくらませ、大胆に。」
学びに向き合う姿勢や将来への想い、日々のキャンパスライフを通した一人一人の個性と成長をお伝えします。
「福岡大学で過ごした4年間は『楽しかった』って言えます」。そう笑顔で語る高木梨江さん(商学部経営学科4年次生)。しかし、彼女の大学生活は不安を抱えて始まった。
高校3年生の時、突然の体調不良に見舞われ、ほぼ1年間出席すらままならなかったという。気力と体力を振り絞り、共通テストは何とか受験できたものの、目指した難関国立大学の2次試験を受験することは叶わなかった。
「1年間浪人しても、次の年に体調が戻っているか分からない状態でした。家族と話し合った結果、とりあえず興味があることを学び始めることにしたんです」。


商学部を選んだのは、小学生時代に受けた「税金」の授業がきっかけだ。税という仕組みが、社会を当たり前に動かしているという話に感動したのだという。公認会計士を目指そうと、専門のプログラムがある福岡大学を選んだ。
だが、学科での学びを進めるうち、次第に関心は経営戦略や組織論へ移っていく。正誤が明確で、勉強した分だけ点数が取れる簿記のような授業は楽しい。仕事にしてもうまくこなせると思う。だが、何十年も続けたいかと自問したとき、すんなりイエスとは思えなかった。
迷った結果、『実験精神』をキーワードに社会課題を探求する、森田泰暢教授のゼミを選ぶ。
用意周到で慎重派と自認する。リスクやデメリットにフォーカスしがちで、確信がなければ一歩を踏み出せない性格。それを「ワクワクしたらやってみよう」に変えたのは、先生が何度も口にしていた『実験精神』という言葉で表現される行動哲学だ。
まずは自分なりに試してみて、不具合があれば改善し、また試す。仮に失敗と思う結果が出たとしても、それは次へのステップ。実験のように、繰り返し、繰り返しトライすればよい。
「乗り越えた先には、成長した自分がいる」。そう思うと、自然と行動を起こす力が湧いてきた。


挑戦の1つはカンボジアでのインターン型起業体験プログラム「サムライカレープロジェクト」だ。現地の課題解決に向けた資金調達を目的に、他大学の学生ら参加メンバーと協力し、数人ずつのグループそれぞれが、マーケティングリサーチから商品開発、試食会、販売までを一貫して行うもので、収益は現地の障がいがある子ども達の学校に送られる。
一人で飛び込んだプログラムは、自分の特性を見極める機会になった。大学で学んだ会計の知識やゼミで培った客観的で論理的な思考プロセスは自分の強み。他方、「呼び込みだけはどうしてもできなかった」と苦手も認識できた。
きっと多くの人が感じたことがある、確たる根拠もない不安。それを打ち破ることにも挑戦する。それが、「落ちたら自分を否定された気がしそうで怖かった」という就職活動だ。
不安を解消するために選んだ方法は、キャリアセンターが開催する「就活キャンプ」への参加。企業分析の手法を学び、模擬面接を経験できるだけでなく、実際に企業を訪問し採用担当者と交流する機会もある。
まずは業種を絞らず、さまざまな企業を見て回った。その分、業界や企業研究に費やす時間は増える。だが、分からないことがあれば徹底的に調べ上げるタイプ。情報収集と自己分析を繰り返したことで、自分に合うと思えた企業から早期内定を得た。
「参加して、『落ちること』に対する捉え方を変えることができた。まだ卒業まで時間もあるし、だめでも『プレ本番』だと思えば気持ちが楽になりました」と言う。
結果、「日本の食の安全を守る一翼を担いたい」と食品系の商社への就職を決めた。背景には、カンボジアの市場で見た光景がある。炎天下で生肉が売られている様子に衝撃を受け、「日本の食の安全は当たり前じゃない」と実感した。まだ配属先は決まっていない。「総務、経理、人事、営業。それぞれに自分の強みを生かせる部分があるなと思ってます」と声は明るい。
「社会人は楽しいよ、と後輩に言える人になりたい」。
今の自分が見ている世界はまだ、真っすぐに敷かれたレールの上を進んでいく感覚だと話す。
「社会に出たら、自分の想像通りにいかないこともたくさんあると思っています。でも、一つの経験がその先の選択肢や次の経験の幅を広げてくれる。選べるものが増えて、世界が広がっていく感じにワクワクしています」。


【関連リンク】
・公式Instagram(「ふくらませ、大胆に。」別企画掲載)
・商学部ウェブサイト
・キャリアセンターウェブサイト
