〔研究者コラム〕「SNSとの上手な付き合い方(第7回)」必ず誰かに見られている

新年度が始まってもうすぐ3カ月。新しい環境にも慣れ、LINEやFacebook等のSNSで新たな人間関係を築いている人も多いのではないでしょうか。そこで、総合情報処理センター研究開発室長の奥村勝教授が「SNSとの上手な付き合い方」をテーマに、「SNSにはどんな特徴があるのか」 「利用する際のメリット・デ メリッ ト」「そもそもSNSはどんな仕組みなのか」等、複数回にわたってお伝えしています。

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ここまでコラムを読み進められた方は、おおよそSNSというものがどのようなものかイメージしていただけるのではないかと思います。さまざまな楽しみ方やメリットがあるSNSですが、場合によっては大きなトラブルを引き起こす原因となることもあります。今回は、そんなトラブルの事例を紹介しましょう。

学生をはじめ、若年者のSNSに起因するトラブルで多く見られるものは、SNSを通じて発信した情報に起因するものです。特にTwitterのようなSNSは、メッセージや画像を簡単に投稿できるのと同時に、投稿された情報は瞬時にインターネットを介して世界中へ公開されます。

ウケを狙って、コンビニのアイスクリーム用の冷蔵庫に土足で入った様子や、バイト先の調理場で不衛生な行為をしている様子、業務上の秘密に関する情報の投稿、未成年の飲酒あるいは飲酒運転を自慢した投稿を行うなど不適切な行為にまつわるTwitterの投稿が後を絶ちません。本人にとっては身近な友人にちょっとした悪ふざけのつもりで投稿したのでしょうが、投稿された内容そのものは、その瞬間世界に公開され、友人以外の誰かの目にも必ず止まることとなります。

仮にそのような投稿を匿名でしていたとしても、過去の投稿内容やSNSでのつながりのある「友達」との関係、やり取りなどの断片的な情報から投稿者の氏名や学校名、住所などまで特定されることは少なくありません。SNSそのものを匿名(名前を出さない)で利用していても完全に隠すことはできません。利用者本人やその友人が積極的に自身に関する情報を投稿していれば、情報検索技術の発達した今日、本人を特定することは決して困難なことではないのです。

上記のようなSNSでの不適切な投稿は、結果として大きく二つのトラブルを引き起こします。一つは、店舗やアルバイト先企業の信用失墜を引き起こすことです。そのような場合、解雇はもちろん、場合によっては損害賠償を請求される事態も起こり得ます。また、事案によっては大学を退学しなければならないケースがあるかもしれません。

二つ目は、他のインターネット利用者によって本人特定などが行われた場合、「悪いことした奴、バカのことをした奴」として、事件と関連付けて広くインターネット上で氏名や写真付きで公開されるなど、いわゆるネット上での「特定」「叩き」などと呼ばれる事態を招くことです。残念ながらこれらの行為も、得てしてSNSなどを介して匿名で行われ、「事件とあなたに関わる個人情報」も、瞬く間にネット上に拡散してしまい、消し去ることは極めて困難な事態となります。場合によっては、あなた自身のみならず周囲の友人や家族にまでその害が及ぶこともあります。

会員限定のSNSでも同様です。会員数や友達が多ければ、それは既に不特定多数の人に見られる状況と言っても過言ではありません。あなたの投稿内容は「友達」やネット上での知人を含め、「必ず誰かに見られている」ということを認識した上でSNSを利用する必要があります。もちろん、ネット上に公開されるからではなく、道徳・倫理上、行ってはいけないことは行ってはいけません。

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