福岡大学理学部・林政彦教授(地球圏科学科)が、第58次日本南極地域観測隊の一員(福岡大学海外研究員)として、平成28年11月末にオーストラ リア西海岸フリーマントルで南極観測船「しらせ」に乗船。12月22日、南極大陸に上陸しました。約40日間の滞在期間中、無人航空機を用いた大気微粒子観測、大気放射・降雪・雪面観測などを実施し、南極大陸上の大気と氷床の相互作用が環境変動に及ぼす影響の解明に挑みます。
林教授からは連日、観測隊の様子について写真とコメントが寄せられています。本コラムでは、南極における日本の南極地域観測隊の活動の様子を、第58次南極地域観測隊員である林教授の観測隊生活を通じて、広く社会に広報することを目的に紹介していきます(日時は現地日時)。
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【1/15】朝、RKB毎日放送の記者・今林さんが帰る予定だったが、相変わらず風が15m/秒、地吹雪が舞う状況が続き、ヘリコプターの飛行が困難な状況が午後まで続いた。最後には、しらせの大型ヘリ(写真)で今林さんはピックアップされ、昭和基地へ向かった。
こんな状況なので、カイトプレーンの飛行は不可。天候の回復後の観測を万全の態勢で迎えようと、室内や、雪上車内でパーツの改修等に取り組んだ。夜、少し晴れ間ものぞき、日本で見るのと逆さまな月がきれいだった(写真)。
【1/16】ブリザードが明けて、とっつき岬へのルートについてクレバス帯の様子や、雪上車走行上の注意などの引き継ぎのための日帰り小旅行が行われた。S17メンバーからもリーダー1人が参加。
天候さえよければ、カイトプレーンで追いかけるつもりだったが、あいにくの天候でフライトは不可。観測の準備を行う。夜は、小旅行に向かう3人の送別会。
【1/17】朝9時過ぎ、観測隊ヘリ飛来。小旅行に向かう3人を見送り(写真)、久しぶりに6人だけの生活に戻った。
見送った後は、11日以来6日ぶりのカイトプレーン観測。高度750mでのとっつき岬までの往復に加えて、S17上空で海抜高度1,200m。水平と鉛直のフライトを組み合わせての飛行が可能かの判断材料ともした。結果はOK。問題なし。安定した観測実施の自信を得た。
夜中、久しぶりに太陽が地平線近く、雲の合間から見えた(写真)。まだ、沈んでいない。日没はいつだろうか?
【1/18】ブリザード明けの久しぶりの好天。青空がまぶしい。そして、太陽の光が当たると首筋などは熱く感じる。
今日は、DOROMLANというプログラムで、12時半ごろにS17に飛行機が飛来した。目的は2つ。昭和基地で雪上車の修理のために緊急に必要になった部品を運んできてくれた。昭和基地からも支援に2人と、ヘリのパイロットの3人が荷物の受け取りのために飛来、短時間の滞在。DOROMLANの航空機(バスラーターボ)には、インドの研究者(?)9人も乗ってきた。ここで、給油して1時間の短い滞在を終えて旅立っていった。観測隊の3人も14時45分ごろにS17を飛び立っていった。
バスラーと昭和基地の3人を見送った後は、カイトプレーン観測。基本的な観測パターンとして、海抜高度700m(対地高度90m)で、とっつき岬の沖合い1kmあたりまで進出(S17から18km)。海上で高度を1,200mまで上げて、S17に戻るというパターンでフライトを実施した。夕食後にも同じパターンでのフライトを実施(写真)。燃料的にも問題なく飛行できることを確認した。終了は、22時15分ごろ。その後は疲れて雪上車でぐっすりと眠った。
【1/19】今日は、朝からカイトプレーン観測の予定だったが、全天曇りで雪面の凹凸が判別できないため、フライトを中止。その後、雪が降り始めた。比較的風も弱く、穏やかな降雪。樹脂状結晶や針状結晶の雪が降ってきた。
深夜12時ごろ、外を見ると太陽が沈んでいた(写真)。久しぶりの日没。
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(バックナンバー)
南極通信①(12月2日~9日)
南極通信②(12月10日~14日)
南極通信③(12月15日~17日)
南極通信④(12月18日~20日)
南極通信⑤(12月21日~23日)
南極通信⑥(12月24日~26日)
南極通信⑦(1月3日~10日)
南極通信⑧(1月11~14日)
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