全7回シリーズで「日本の都市が生み出した『闇』を読み解く」と題したコラムを紹介します。コラムを担当するのは高岡弘幸教授(人文学部文化学科)です。
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先生:今回は私の方から質問したいと思います。
―何でしょうか? 恐いですね(笑)。
先生:あなたが想像する幽霊の絵を描いてみてください。
―はい。え~と、たいていは若い女性ですね。髪の毛がストレートで長い。肩くらいまで伸びている感じかな。痩せていて、白っぽい服を着ている。うつむきかげんで、と。こんな感じですね。
先生:そうですね。おそらく、ほとんどの方が同じようなイメージを持っているはずです。でもどうして若い女性なんでしょうか。もちろん、お年寄りや男性の幽霊の話もありますが、やはり女性ですよね。不思議だと思いませんか?
―女性の方が被害者になりやすいからですかね?
先生:なるほど。例えば、江戸時代以降、女性は「嫉妬深い」「情に厚い」ため、死後も幽霊となって、自分を裏切った男性に復讐する、などと説明されたり、そのような内容の芝居がつくられてきました。
―でも、それって、女性に対する偏見ではないですか?
先生:そのとおりです。幽霊=嫉妬深い、執念深い女性、というイメージはあくまで男性中心の文化や社会の中で形づくられたものと捉えることができるはずです。そこで、私のもとで民俗学を学んできた女子学生の一人が、そうした幽霊のイメージの形成と変化をテーマに卒業論文を書こうと奮闘しています。
―現代では、若い男性たちが「草食系」といわれるようになったように、むしろ女性の方が強いのかな(笑)。そうすると、今後は、男性の幽霊が増えてくるのでしょうか?
先生:いや、それはどうでしょうか(笑)?やっぱり女性の幽霊のほうが凄みがあるし。私も女性の幽霊になら会って話を聞いてみたい。そうか、私も女性の幽霊の支持者であり、制作者の一人であるんですね(笑)。いや、参りました。
(関連リンク)
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