〔研究者コラム〕「法学者の目から見る介護保険(第1回)」―要介護認定に満足ですか?―

要介護者や介護をする家族等の負担を軽減するのに欠かせない「介護保険」。しかし、その手続きに不満があってもどうすればいいか分からない人も多いのではないでしょうか。そこで今回のコラムでは、社会保障法を専門とする福岡大学法学部の山下慎一准教授が、介護保険について「法学者の目から見る介護保険」というテーマで4回にわたってお伝えします。

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  • 福岡大学市民カレッジにおいて、山下准教授が「介護保険と市民の法意識」を開講します。

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こんにちは。法学部准教授の山下慎一と申します。福岡に住み始めてから14年が、福岡大学に着任してから3年が過ぎました。授業も研究も、それ以外の活動(ゼミ生たちとサッカーなど)も充実していて、毎日とても楽しく過ごしています。

今回、「研究者コラム」を担当するにあたり、私の現在の研究関心について、少しご紹介したいと思います。もしかすると、読者の皆さまにとって、ちょっとだけ役に立つ情報をお伝えできるかもしれません。

私の専攻は、「社会保障法」という学問領域です。具体的には公的年金や医療保険、生活保護などの、社会保障に関する問題を、法的な観点から研究しています。それらの中でも、最近は、介護保険、特に要介護認定をめぐる法的関係に、興味を持って研究しています。

介護保険制度が2000年4月に本格的にスタートしてから、17年が経過しようとしています。さまざまな問題点を抱えながらも、介護保険は市民の皆さんの生活に深く浸透してきたと言えるのではないでしょうか。

さて、ご存じのとおり、私たちが介護保険を利用する上で、一つのカギ(あるいは入り口)となるのが、市町村による「要介護(要支援)認定」です。要介護認定によって、本人がどのような要介護度に区分されるかは、介護サービスの利用費の問題に直結するため、非常に重要です。

しかし、本人の予想・希望と、要介護認定の結果に「ズレ」が生じる場合も多くあります。この「ズレ」が生じた場合に、法はどのような選択肢を用意しているのでしょうか?そして、私たちは現実にはどのような行動を取ることになるのでしょうか?

本コラムでは、法学の視点から、統計データを読み解きつつ、市民の介護保険に対する法意識や、法行動の一端を探りたいと思います(4回連載の予定です)。お付き合いいただければ幸いです。

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