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〔研究者コラム〕「法学者の目から見る介護保険(第3回)」―不満な人と審査請求の数が合わない!―

2017.04.24

要介護者や介護をする家族等の負担を軽減するのに欠かせない「介護保険」。しかし、その手続きに不満があってもどうすればいいか分からない人も多いのではないでしょうか。そこで今回のコラムでは、社会保障法を専門とする福岡大学法学部の山下慎一准教授が、介護保険について「法学者の目から見る介護保険」というテーマで4回にわたってお伝えします。

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こんにちは、山下です。さて、前回(第2回)のコラムでは、平成26年度における要介護認定の新規申請件数200万件のうち、審査請求がなされたものは何件だったでしょうか、というクイズをお出ししました。

その答えは・・・

〔C〕2,000件、よりも少ない、というものでした!

平成26年度の介護保険に関する審査請求件数は、全国の合計で「2,385件」です(総務省調べ)。しかし、この数の中には、「要介護認定に関する審査請求」のほかに、「保険料に関する審査請求」なども含まれています。そのため、「要介護認定に関する審査請求」は、1,000~1,500件程度であると思われます(現在、その内訳データを47都道府県から収集中)。そうすると、要介護認定に対して審査請求を実施しているのは、0.1%以下、つまり1,000人に1人以下、という計算になります。

「じゃあ、99.9%の人たちは、要介護認定に納得しているんじゃない?」と思われますか? どうやら、そういうわけでもなさそうなんです。

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例えば、ある都道府県が平成25年度に実施した、要介護認定に対する満足度の調査〔図①-(1)〕では、「やや不満である」と答えた人が12.4%、「不満である」と答えた人が3.4%だったそうです。これらの人たちの不満の理由には、さまざまなものがありますが、「思ったより軽い認定結果(要介護度)だった」という不満を持った人が、うち55.7%に上っています〔図①-(2)〕。

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さらに、同じ年に東京都のある区が実施した「要介護認定調査の満足度」の調査〔②-(1)〕では、「あまり満足してない」が11.0%、「満足していない」が3.8%となったそうです。これらの人たちのうち49.2%は、「調査結果に満足していない」との回答をしています〔②-(2)〕。

上記2つのアンケートは、タイトルが異なっていますが、内容は同じようなものと考えてよいと思います。引用の都合上、グラフを作り直したうえ、①-(2)と②-(2)で質問事項をいくつか割愛しましたが、それ以外は元データのままです。

スペースの関係で、データの扱い方が丁寧でなくて恐縮ですが、少なくとも、「要介護認定に不満を持っているけど、介護保険審査会への審査請求はしない」という人が、一定数存在するのではないか、という予測はできます。

そうすると、それらの人たちは、どういう行動をとっているのでしょうか? ・・・また唐突にクイズになりましたが。

〔A〕「そんなもんだ」と我慢する 〔B〕市役所に苦情を言う 〔C〕裏ワザを使う 〔D〕どうしていいか分からない

答えは、第4回(最終回)コラムでお伝えします! それではまた次回。

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  ●山下准教授の著作(リンク先は出版社のウェブサイト)
  共著『憲法判例からみる日本』(日本評論社、2016年)
    憲法訴訟が起きた背景を、政治・歴史・文化の視点とかけあわせて読み解きます。山下准教授は第10章を、山梨学院大学の武田芳樹准教授と共同で執筆しています。
  単著『社会保障の権利救済』(法律文化社、2016年)
    イギリスにおける社会保障法領域の権利救済システムを「独立性」と「職権主義」という分析軸を用い、実証的・理論的に解明。日本法への示唆を得るとともに、法的権利救済制度モデルを提示します。

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