〔研究者コラム〕「福岡の街に誕生する新しいバス交通システム"BRT"(最終回)」―福岡大学では都心循環BRTの走行空間について検討―

福岡市の都心部で、連節バスの試験走行が行われているのをご存じですか?これは福岡市が推進している「天神ビッグバン(※)」の一環として、都心部の効率的な交通ネットワークの構築を目指し福岡市と西日本鉄道(株)が共同で取り組んでいるもので、天神・博多・ウォーターフロントの都心3拠点をつなぐBRT(Bus Rapid Transit)の導入を予定して行われているものです。

そのBRTシステムの構築に携わっている、本学工学部社会デザイン工学科の辰巳浩教授がBRTシステムについて詳しくお伝えしてる本コラムは今回が最終回となります。

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交通シミュレーション(黄色のバスがBRT)
 

第1回でも書いたとおり、BRTを導入するに当たり、乗客を"速く"輸送するための走行空間を確保することは重要な課題です。筆者は福岡市のBRT導入の検討に初期段階から深く関わっていますが、それと並行して、筆者が所属する福岡大学工学部社会デザイン工学科の交通・都市システム研究室でも、BRTの導入を想定し、福岡都心部において名古屋市のような中央走行式バス専用レーンの導入が可能であるか否かを独自に検討してきました。

具体的には、交通シミュレーションにより、中央走行式バス専用レーン導入の影響を分析しています。まずコンピュータ上で実際の道路交通を再現し、その上で一般車を排除した中央走行式バス専用レーンを導入した場合のシミュレーションを行って比較することにより、道路の混雑状況などがどの程度変化するかについて分析しています。

その結果、渡辺通りや那の津通りは現状の道路状況では中央走行式バス専用レーンを導入することはかなり難しいという結論を得ていますが、大博通りや住吉通りでは導入の余地があることが明らかになっています。

今後もさまざまな条件設定について精査する必要があります。現在は本研究室で得られた知見を踏まえ、都心循環BRTの走行空間のあり方について検討が進められています。
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(※)天神ビッグバン
アジアの拠点都市としての役割・機能を高め、新たな空間と雇用を創出するため、天神地区において福岡市が行っているプロジェクト。詳細はこちら(福岡市のウェブサイト)

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