脳の働きを支える細胞「アストロサイト」
―脳疾患のメカニズム解明に新たな光―
「アストロサイト」は脳内で微小突起(PAP)を介して様々な細胞と接触している細胞で、神経細胞の働きを制御しています。PAP の形態変化は記憶と関係し、その形態異常はアルツハイマー病などの疾患の原因とも指摘されています。しかし、アストロサイトは単離して一般的な条件で培養するとPAPが失われるため、PAPの形態変化とそれに関わるタンパク質を生きた状態で観察することが困難でした。今回、千葉大学・山梨大学・福岡大学の研究チームは、PAPを保ったアストロサイト内のタンパク質の動きを生きたまま観察できる新しい手法を開発し、その構造や動きについて新たな知見を明らかにしました。
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研究のポイント
① 突起(PAP)が“1種類ではない”ことを発見
・これまで単一構造と捉えられていたPAPが複数のタイプに分かれ、異なるタンパク質によって制御されていることが明らかになった。
② 特定のタンパク質(lasp-2)が突起の形成に関与する可能性
・lasp-2が突起の先端や新たに伸びる部分に集まることを確認
・アストロサイトがどのように形態を作るのかを理解する手がかりに
③ 脳疾患研究への応用に期待
・アストロサイトの構造の乱れは認知症など神経疾患と関連
・今回の手法により、疾患と細胞内の変化の関りを調べられる
→脳疾患の仕組みの解明や創薬研究につながる基盤技術 -
研究チーム
・千葉大学大学院理学研究院の寺崎朝子講師、高野和儀助教、
同大大学院融合理工学府博士後期課程の井上幸大氏、博士前期課の生駒千枝子氏
・山梨大学大学院総合研究部の繁冨英治教授、小泉修一教授
・福岡大学理学部の中川裕之教授 -
論文情報
・2026年2月19日(木)国際雑誌 『Journal of Cell Science』オンライン版に掲載
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【お問い合わせ先】
福岡大学 理学部地球圏科学科 教授 中川 裕之
電話:092-871-6631(代)(内線:6270)
Email: hnakagawa★fukuoka-u.ac.jp ※メールを送る際は「★」を「@」に変えてください。