狂牛病で知られる病原体プリオンを抑制する生体内免疫機構を明らかに

福岡大学薬学部免疫・分子治療学研究室 石橋大輔教授らの研究グループは、オリゴアデニル酸合成酵素(Oas1a)が病原体プリオンの感染に一定の抑制効果を示すことを明らかにしました。
世界を震撼させたウシのプリオン病(狂牛病/BSE)からヒトへの感染の広がりは収束しましたが、北米を中心に野生のシカのプリオン病の広がりが問題となっています。
また、ヒトのプリオン病であるクロイツフェルト・ヤコブ病は、年間100万人に1人程度の割合で発症する稀な疾患ですが、一旦発症すると認知症などの病状が急速に悪化し1年ほどで死に至る病気で、今も有効な治療法がない指定難病の一つです。
プリオンは、細菌やウイルスなどの病原体とは異なり、遺伝子を持たない蛋白質が主体となる病原体です。これまで、プリオンに対して生体に備わる免疫機構は有効に働かないと考えられてきましたが、今回の研究で得られた知見は、指定難病であるクロイツフェルト・ヤコブ病の画期的治療法開発の足掛かりになると期待されます。
大阪公立大学、長崎大学、東京大学、宮崎大学のグループとの共同研究である本研究の内容は、5月23日(金)に英国の医科学誌『Brain』のオンライン版に掲載されました。

論文タイトル:
『Oligoadenylate synthetase 1a suppresses prion infection through binding to cellular prion protein』
Brain. 2025 May 23: awaf193. doi: 10.1093/brain/awaf193. Online ahead of print.
論文はこちらからご覧ください。

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