〔研究者コラム〕ー「景観デザインによる安全安心まちづくり―警固公園のリニューアル(第4回)利用・導線の変化」ー

2014年10月1日(水)、柴田久教授(工学部社会デザイン工学科)を中心に「景観まちづくり研究室」が再整備に携わった警固公園がグッドデザイン賞を受賞しました(ニュース記事)。全5回シリーズで「景観デザインによる安全安心まちづくり―警固公園のリニューアル―」と題して、警固公園再整備事業の経緯や設計プロセスとともに、公園の再整備がもたらした効果について柴田教授が紹介します。

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筆者らの研究室「景観まちづくり研究室」は、再整備後の利用者行動の変化を探るため、リニューアルされた公園内の動線と利用行動調査をリニューアルから1カ月後の2013年1月に実施している。下図はリニューアル後の公園の動線と利用行動の調査結果を表したものだが、旧公園(図左)と比べ、赤線で示される歩行者動線が園内全体に広がり、特に人通りがほとんど見られなかった公園南側の通路の歩行者は格段に増えているのが伺える。

また再整備を経て、新たに設けられた中央園路の往来も多い。さらに行動調査では芝生の養生期間、さらに1月という冬場であったにもかかわらず、多くの利用者、特に女性と子どもの増加が目立った。

次に上記1月と約1年後の同年11月の2回にわたり、利用者の公園に対するヒアリング調査も行っている(1回目、2回目の回答者数はそれぞれ105、120)。

1回目の調査では、整備前と比較した整備後の公園の印象について質問し、多くの利用者から「見通しがよくなった」「明るくなった」「安全・安心になった」との回答が得られている。加えて「オープンスペースで何かイベントをしてほしい」「都心でこのように広々としている場所はないので良い」との意見も得られている。また以前は利用が少なかった「こども広場」でも多くの人が見られ、広場で子どもを遊ばせている親からは「見通しがよくなり、安心して子どもを遊ばせられるのでよく来るようになった」等の意見も得られている。

また2回目調査の「治安が良くなったか」との質問に対しては「良くなっている」と回答した人が全体の46%、「どちらかと言えば良くなっている」が54%と、その他、選択肢として用意していた「変わらない」「悪くなっている」等の回答は皆無であった。

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【図】警固公園リニューアル前後の動線の変化

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