〔研究者コラム〕ー「景観デザインによる安全安心まちづくり―警固公園のリニューアル(第2回)」再整備事業の推進体制と設計プロセスー

2014年10月1日(水)、柴田久教授(工学部社会デザイン工学科)を中心に「景観まちづくり研究室」が再整備に携わった警固公園がグッドデザイン賞を受賞しました(ニュース記事)。全5回シリーズで「景観デザインによる安全安心まちづくり―警固公園のリニューアル―」と題して、警固公園再整備事業の経緯や設計プロセスとともに、公園の再整備がもたらした効果について柴田教授が紹介します。

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再整備事業の推進体制

警固公園の防犯および景観整備への高島福岡市長の強い意向もあり、福岡市「みどりのまち推進部」は、2012年度より本格的な再整備事業をスタートさせた。特筆しておきたいのは平成22年7月に発足された「警固公園対策会議」の存在である。本会議は、近隣住民ならびに福岡市役所・中央区役所、福岡県警察本部、中央警察署の各関係者、福岡大学(筆者)によって構成され、警固公園での事件発生の状況や再整備の方向性について協議がなされた。 

対策会議において警固公園の再整備で求められた具体的な方針は、①見通しの確保、②公園と公園周辺の双方向に開放された動線の確保、③スケートボード等、不適切な利用の仕方を抑制、④公園をセットバック(兼用工作物化)し、前面歩道を拡幅、⑤目につきやすい場所へトイレを移設の5点。その結果、前述した犯罪発生の温床となっていた築山を撤去し、後述する新たな中央園路の設置など、見通しと動線を考慮した再整備の実施に至った。

設計のプロセス

以上の結果を受け、筆者らは以下の調査・検討を行った。

  • 旧公園の利用実態を把握するため、長年公園の防犯を行っているボランティアや公園利用者に対するヒアリング調査実施。→園内の動線や滞留している場所とその内容等について調査し、結果を図示(下図)。
  • 提案する新警固公園の1/100模型を作製。→周辺からの見通しや提案するデザイン案の配置、高低差等を確認。修正を加えるなどして、デザイン案の中身を洗練化。
  • ベンチの設置場所および形状の提案。ベンチに取り付ける照明の幅や石畳の石の配置に関して1/5模型を用いた詳細を検討。→スケートボード等による不適切利用の抑制策、より安全かつ魅力的なベンチ形状を提案。

以上の検討の結果、歩行のしやすさおよび周辺からの見通しを考慮し、園路の舗装等、最終案を導いた。特に舗装やベンチに用いる石材の検討では、現地にて筆者、福岡市みどり整備課、施工業者が合同のもと、石材サンプルを用いながら色味や材質を確認、決定していった。

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