〔研究者コラム〕ー「日本の都市が生み出した『闇』を読み解く(第2回)」幽霊と妖怪の違いー

全7回シリーズで「日本の都市が生み出した『闇』を読み解く」と題したコラムを紹介しています。コラムを担当するのは高岡弘幸教授(人文学部文化学科)です。

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―基本的なことをお尋ねします。幽霊と妖怪は違う存在なんですか?

先生:幽霊も妖怪も、人々の想像力によってつくりあげられた文化的な創造物です。これが最も基本的な前提です。さて、民俗学の創始者である柳田國男は、妖怪と幽霊を三つの点で異なるとしました。まず、妖怪は出没場所が固定されているが、幽霊はそうではない。第二に、妖怪は相手を選ばないが、幽霊は恨みを持つ者を執拗に追いかける。これらの区別は、たとえば「お化け屋敷」を考えてみれば間違っていることがわかります。

―そうか。お化け屋敷では幽霊は出現場所が固定されているし、そこを訪れた者に「平等」に姿を現わしますね(笑)。

先生:第三に、妖怪は「たそがれ時」、幽霊は「丑三つ時」に現れるとしましたが、そうではない事例がたくさんあります。柳田の説は長い間支持されてきたのですが、現在では、ほとんど破棄されたと考えていいでしょう。

―そうすると、幽霊と妖怪は同じ仲間なんですね?

先生:はい。不思議に思われるでしょうが、江戸時代の半ばくらいまで、幽霊にはきちんと足がありました。逆立ちをして現れることもありましたが、二本足で堂々と歩いて来る。さらに、生前の姿で現われ、恨みごとを述べると、鬼や大蛇に変身してしまう。つまり、幽霊も妖怪たちと同じようにキャラクター化されていたというわけです。

―私たちがイメージするような幽霊とはまったく異なったものだったんですね。

先生:それが、いつごろ、どのような理由で、今のような幽霊へと変化したのかについての説明は、次回に!

―う~、待ち遠しいですね!

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(写真)妖怪や幽霊の出現場所を説明

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(写真)研究室には妖怪や幽霊に関するたくさんの書籍が

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