いよいよクリスマス。3人の先生がお届けしてきた「クリスマス」をテーマにしたコラムは今回の7回目で最終回です。最終回を担当するのは、商学部の太宰潮准教授です。
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太宰准教授の研究実績やプロフィルはこちら
- 第1回:クリスマスってそもそも何?
- 第2回:光を求める季節
- 第3回:アドベントカレンダーとサンタクロース
- 第4回:トーマス・マンの『ブッデンブローク家の人々』を読んでドイツのクリスマスを知る(上)
- 第5回:トーマス・マンの『ブッデンブローク家の人々』を読んでドイツのクリスマスを知る(下)
- 第6回:クリスマス"前後の"商売について(上)
意図的に流通量を減らすことに関する企業の倫理観等々はとりあえず置いておくとして、なぜこのようなことが起こるかというと、ヒトが「一回"買ってあげる"と約束したこと」に対して一貫性を保とうとするために起こると説明されています。
ヒトは一回自分が言ったことは、「おかしいと分かってはいても」、あまり曲げたくはないものなのです。代わりのものを買い与えたことが分かっていても、あらためて買ってしまうわけです。昨年のクリスマスであれば、爆発的ヒットを記録したグッズを、「買う」と言ってしまった手前、高額で転売されていたものを買ってしまった人もいるのではないかと思います。
ヒトは感情の生き物でもあります。おかしいと分かっていてもやってしまう、感情に流されて余計なことを言ってしまう、ということは、買い物に関わらず、経験をしている人が多いのではないでしょうか。
年末年始の楽しい家族の時間に、ドライに判断ができないことも多いかもしれませんが、このようにヒトの理論や特徴を知ると、それを利用することが可能ですし(このような売り方を奨励するわけでは決してありません)、逆に思いとどまることも可能です。
時として、冷静で合理的な判断、ということも必要なのですし、何よりこのケースで言えば子どもにしっかりと「足るを知る」ことを教育することができます。感情は大切なものであり、無くてはならないものですが、一方で感情の赴くまま、易きに流れる方向には、あまり良い結果とならないことが多いです。
私も冷静にその場や先に起こることを見据え、行動ができる消費者の研究を進めていきたいと考えています。
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