〔研究者コラム〕「クリスマス(第6回)」ークリスマス"前後の"商売について(上)ー(商学部・太宰潮准教授)

いよいよクリスマス。3人の先生がお届けしている「クリスマス」をテーマにしたコラムも6回目です。第6回を担当するのは、商学部の太宰潮准教授です。

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クリスマスといえば、どんなことを思い浮かべるでしょうか。恋人とのデート、みんなでのパーティー...。楽しい思い出はもちろんなのですが、働く立場としては同時に「稼ぎ時」でもあるのではないでしょうか。

「年末商戦」と称されるように、この時期の売上の伸びたるや、ものすごいものがあります。ということは逆に、その前後の売上は落ち込む傾向にあるわけです。

今回はその前後の商売について少しお話します。

売上の落ち込みを防ぐシンプルな方法の一つは、「セールを行う」ことです。福岡・天神博多界隈のショッピング施設が秋ごろにセールを行っています。売り手はなぜこの時期にセールをやるのか、また、買い手である私たちはセールのときもセールをやっていないクリスマスのときも商品を購入しているのではないか、ということをぜひ一度考えてみてください。

では「事後」、年が明けてから売上を上げるためにはどうするのか。非常に有名ですが『影響力の武器』(※1)という本に面白いケースがありますので、多少文脈を要約しつつ、ご紹介したいと思います。

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クリスマス前におもちゃのCMを積極的に流します。
子どもはそのおもちゃが欲しくなり、親に買ってくれるように頼みます。
年末を迎える時期は、大体が「買ってあげる」、と約束をすることになります。
でもメーカーはそのおもちゃを少ししか流通させません。店頭では品切れが起こります。
そのとき、親は代替のおもちゃを買い与えることになります。
そして、クリスマスが終わったら、再度そのCMを積極的に流し、
小売店に積極的に商品を卸します。
そのCMを見た子どもは「買ってくれるって約束したじゃないか」と
親にせがむことになるので、
年が明けてからそのおもちゃを買い与えることになります。
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...ストーリーはこんなところです(※2)。

後編では何故このような事が起こるのかを消費者の視点から見ていきます。

(※1)ロバート・B・チャルディーニ (著)、社会行動研究会 (翻訳)『影響力の武器 [第三版]: なぜ、人は動かされるのか』、2014年、誠信書房。
(※2)手に入らないものを広告し続けることが不正広告に当たるとされるケースもあります。このようなことが常態化している、という意味では決してありません。

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