12月に入り、街は一気にクリスマスムード。今回は昨年評判が良かった「クリスマス」に関するコラムを再掲してお届けします。第1回は人文学部ドイツ語学科の有馬良之准教授です。
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第2回:光を求める季節(人文学部ドイツ語学科・有馬良之准教授)
第3回:アドベントカレンダーとサンタクロース(同上)
第4回:トーマス・マンの『ブッデンブローク家の人々』を読んでドイツのクリスマスを知る(上)(人文学部ドイツ語学科・マーレン・ゴツィック准教授)
第5回:トーマス・マンの『ブッデンブローク家の人々』を読んでドイツのクリスマスを知る(下)(同上)
第6回:クリスマス"前後の"商売について(上)(商学部・太宰潮准教授)
第7回:クリスマス"前後の"商売について(下)(同上)
今年もついにカレンダーが最後の一枚になり、街にクリスマスソングが流れる季節がやってきました。しかし、そもそもクリスマスとはどういう日なのでしょう?
イエス・キリストの誕生を祝う日?その通り! しかし実は聖書にはイエスの誕生日についての記述はありません。初期のキリスト教徒には「十字架に磔にされたイエスが復活した日(復活祭)」こそが重要だったので、生まれた日には関心を持っていなかったようです。
しかし紀元4世紀にローマ帝国でキリスト教が国教になると、キリストの誕生日が12月25日と定められ、次第に定着していきました。この日が選ばれたのは、 それ以前からローマ帝国内で信仰されていた太陽神ミトラスの誕生日がこの日だったことによります。12月25日と太陽、と言えば、冬至のすぐ後だという事に気が付きます。
1700年前のローマの気候については私も何も知りませんが、アルプスを越えたドイツなどでは冬は非常に寒く、とりわけ暗い季節です。最近の統計によると、12月から2月までの合計日照時間はドイツ全体の平均で154時間。これは福岡(331時間)の半分以下、新潟よりも短いほどです(188時間)。その暗い季節がまだ続くと分かっていても、この日を境に太陽はまた力を取り戻してゆく、新しい命の季節(春)への一歩が始まる、と期待する人たちにとって、「彼に従うものは命の光を持ち」と言われるイエスの誕生日がこの冬至のころであるというのは非常に受け入れやすいことだったでしょう。
「世の光」であるイエスの誕生を待ちわびる時間もドイツでは光で飾られています。そのお話は次回に。
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