第20回「今を生きる教養講演会」を開催しました

5月21日(火)、福岡大学で福大生ステップアッププログラム第20回「今を生きる教養講演会」を開催しました。

今回は東京大学名誉教授の養老孟司氏を講師にお迎えし、「情報化社会を問う」と題してご講演いただきました。なお、司会は放送研究部の中村泉美さん(人文学部文化学科3年次生)が務めました。

 

<講演概要>

1950年代以降、世界からモノ(自然)が消えていき、情報化社会へと変化してきた。情報化社会である現代を養老氏は「脳化社会」と呼んでいる。脳化社会が進むと、現代人は自分が五感で触れるものを無視し、感覚を意識より下に位置付けるようになる。脳の中には「想定外」がないため、脳化社会において人は安心感を得ることができる。また、生まれた頃からこの社会に生きている現代の若者は、「考える」必要が無くなっていることが多い。現代が情報化社会であるということを意識できるよう、時には自然に触れるなど、五感を使ってほしい。

また、情報化社会では、人々が世界を「”同じ“に見ようとする」という特徴がある。人間と動物の違いは、”同じ“を認識できるかどうかであり、「等価交換」という概念を理解できるのは人間だけで、「人間社会は=(イコール)から始まった」とも言える。イコールの概念を理解できるからこそ人類は発展してきた。

さらに、人は歳を重ねるごとに感覚が徐々に抽象的になり、データをより信用する傾向にある。マイナンバー制度や、身分証明書での本人確認制度を見ても分かるように、現代は、人間そのものよりも、意識の中にある、つくり上げられた人間を本物と捉える社会に変化しつつある。

これからを生きる人たちには、今後どのような社会にしていくべきか、ぜひ考えてみてほしい。

 

講演中は、メモを取る人の姿が多く見られ、質疑応答にも多くの手が挙がりました。最後に、学生を代表して、砂岳妃奈乃さん(人文学部英語学科4年次生)から感謝を込めて花束が贈呈されました。

<学生の声>
・初めて参加しましたが、自分の考えの幅が広がったと感じることができたので良かったです。
・今まで考えたことのないような考え方に触れることができ、とても刺激を受けました。
・新しい考え方を得られたのでとても良かった。これからの生き方の一つの参考にさせてもらいたいです。
・このような機会はあまりないため、自分とは違う世界観を持つ人の講演を聞けて視野が広がりました。
・普段何気なく暮らしているだけでは考えない「何故?」「どうして?」ということを、日々考えていきたいと思いました。