現在、海洋プラスチックゴミ・マイクロプラスチックに代表される環境汚染問題や、SDGsやカーボンニュートラルなどの循環型社会の構築に向けて、プラスチック生産・利用そして使用済プラスチックの処理方法にどのように取り組むかが大きな課題となっています。
福岡大学研究推進部機能・構造マテリアル研究所の八尾滋研究特命教授は、環境・資源循環性に優れているとされているプラスチックの再生利用について、最先端の研究開発を行っています。
八尾教授は2021年より、福岡県リサイクル総合研究事業化センターの支援を受け、株式会社成田美装センター、公益財団法人大牟田市地域活性化センターおよび大牟田市との産学官連携プロジェクトで、農業用廃プラスチックを添加したアスファルトの舗装材料への利用研究を行ってきました。
農業用廃プラスチックのリサイクルは、泥などの付着が多いため処理に手間がかかり、高コストであることが課題でした。そこで研究グループは、元々石材を砕いて混ぜるアスファルト舗装であれば、泥付きプラスチックでも問題がないのではないかと考え、研究を重ねてきました。その結果、農業用ポリエチレン(使用済みビニールハウスや土壌乾燥防止シートなどの廃プラスチック)をアスファルト舗装材料に混合させる工程の開発に成功し、アスファルト舗装の高性能化を実現しました。
通常のアスファルト舗装には、アスファルト、砕石、骨材の3種類を混合しますが、実験では破砕した農業用廃プラスチックも加えました。それにより、アスファルトの接着度、耐久性、防水性が向上し、高性能化することが確認できました。
今後は、農業用廃プラスチックのリサイクル率が向上し、環境負荷低減と道路や路面舗装の強度改善につながると期待されています。
現在は、大牟田市の大牟田エコタウン内工業用道路と大牟田市エコサンクセンター内駐車場で実装されています。また、既に関係各所からの問い合わせが届いています。今後もこの研究を社会に広げていくために、各所との連携を深めてまいります。
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【お問い合わせ先】
福岡大学機能・構造マテリアル研究所
八尾滋研究特命教授
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