ゴキブリが匂いを感じる仕組みを解明し、匂いを感じられないゴキブリを作成

福岡大学大学院理学研究科の立石康介さん(2021年度博士課程卒業)と福岡大学理学部地球圏科学科の渡邉英博助教を中心とする研究チームは、衛生害虫であるワモンゴキブリの匂い受容機構を解明し、匂い受容の核となる匂い受容体の発現を分子生物学的手法により操作することで、匂いを感じられないゴキブリを作成しました。

今回の研究で、世界で初めてゴキブリの匂いを感じる仕組みが明らかになりました。この、匂いを感じる仕組みを利用することにより、より効果的なゴキブリ誘引剤の開発や、ゴキブリの匂いを感じる能力を模したセンサーの開発につながると考えています。また、特定の遺伝子の発現機構を標的にするRNA干渉法はゴキブリで非常に有効であることも明らかになりました。今までの殺虫剤や粘着トラップを用いたゴキブリの駆除方法はゴキブリ以外の昆虫にも有害であり、場合によっては環境負荷が高くなります。今回の研究は害虫となるゴキブリのみを標的とした、新たな駆除手段を生み出す手がかりになることが期待されています。

本研究成果は、北海道大学理学部・電子科学研究所、総合研究大学院大学先導科学研究所との共同研究によるものです。2022年4月20日に科学雑誌『iScience』オンライン版に掲載されました。

  • 【お問い合わせ先】
    福岡大学理学部地球圏科学科 助教 渡邉英博
    電話:092-871-6631(内線:6274)
    メールアドレス:nabehide★fukuoka-u.ac.jp
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