【世界初】レビー小体型認知症における病原蛋白質の新たなリン酸化部位を発見

レビー小体型認知症は3大認知症の一つで、国内では約90万人が罹患していると言われています。

α-シヌクレインは主に脳に存在する蛋白質ですが、レビー小体型認知症の脳では、この蛋白質の凝集化により「凝集α-シヌクレイン」が生じ、これがこの疾患の病原蛋白質と考えられています。また、非罹患者はα-シヌクレインの大部分はリン酸化されていませんが、レビー小体型認知症の凝集α-シヌクレインは、そのほとんどが129番セリン残基においてリン酸化されています。

福岡大学薬学部生体機能制御学研究室の佐野和憲准教授の研究グループは、レビー小体型認知症の脳において、凝集α-シヌクレインの136番チロシン残基がリン酸化されていることを初めて発見しました。また、カゼインキナーゼ2による129番セリン残基リン酸化を介して136番チロシン残基リン酸化が誘発されること、さらに、136番チロシン残基リン酸化はα-シヌクレインの凝集化を抑制することを明らかにしました。

今後、α-シヌクレインの136番チロシン残基リン酸化、カゼインキナーゼ2を標的としたレビー小体型認知症克服に向けた創薬の開発が期待されます。

本研究成果は、2021年11月12日(金)付けで英国の専門誌『Acta Neuropathologica Communications』に掲載されました。

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