アルツハイマー病、大脳皮質基底核変性症、ピック病などの病態機序解明や治療薬の開発に必要とされる新しいマウスモデルの開発に成功

アルツハイマー病、大脳皮質基底核変性症、ピック病などでは、神経細胞やグリア細胞内にタウ(=微小管結合タンパク質の一種)が異常蓄積し、神経細胞の変性が生じることにより認知症が発症すると考えられています。これらのようなタウオパチー(=タウが蓄積する疾患)の病態機序解明や治療薬の開発には、病理を正確に再現できるマウスモデルが必要とされてきました。
福岡大学薬学部免疫・分子治療学研究室の細川雅人准教授、東京都医学総合研究所認知症プロジェクトの長谷川成人参事研究員、設樂浩志遺伝子改変動物室長らの研究チームは、筑波大学の新井哲明教授らとともに、ゲノム編集技術を用いて、これまでのマウスモデルの欠点である、ヒトとマウスのタウの発現様式の違いを克服した新しいマウスモデルの作製に成功しました。本研究により、タウがプリオン病の病原体であるプリオンと同様の性質を持つことが確認されました。また、このマウスモデルを使用したピック病患者由来タウ線維注入実験では、世界で初めてピック球(=タウの異常構造物)に非常によく似た病理が再現されました。
本研究の成果は、2021年9月13日(月)付けで英国科学雑誌『Brain』で発表されました。
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    福岡大学薬学部 准教授 細川 雅人
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    メールアドレス:hosokawa★fukuoka-u.ac.jp
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