福岡大学病院で脳死肺移植を50例実施 移植実施数は、九州地区最多・全国6番目

福岡大学病院の肺移植チームは、6月20日(日)に50例目の脳死肺移植を実施しました。

臓器移植の中でも特に「心臓・肺・肝臓」の移植は難しいとされ、肺移植は全国10施設でしか実施が許されていません。九州地区では福岡大と長崎大が指定の実施施設となっています。

<要点>

  •  脳死肺移植は重度の呼吸困難に苦しまれている方、それにより余命が制限される方に適応される。成功した場合患者さんは大変元気になり、酸素吸入からも解放される。患者さんへの利得は計り知れない。
  •  脳死肺移植は1998年に開始されたが、当初は「東北・京都・大阪・岡山大」など本州の施設だけであった。
  •  2005年に「福岡・長崎大」が九州の施設に認定され、「千葉・独協・東京・藤田保大」が順次指定された。
  •  大変難しい治療である為、すべての患者さんに成功できるものではないこと、ドナー(肺提供者)が未だ不足している為に移植にたどりつけない多くの患者さんがおられることも現実である。
  •  福岡大学では2006年の肺移植第1例目から着実に経験を増やし、この度50件目の実施となったが、これは全国的には6番目の規模であり、九州では最多経験施設である。
  •  コロナの影響で、肺移植の実施はより慎重さを要するようになり、脳死ドナー数も幾分減少傾向ではあるが、福岡大学はむしろ実施数を増やしている。
  •  肺移植は胸部外科手術の中で最も高い技術を要する手術のため、肺移植外科以外にも心臓血管外科、麻酔科、体外循環技師、移植看護師等のチーム力が必要。福大は肺移植チームとしても成熟し、最近では2例同時の肺移植(1人のドナーからの両肺を左右に分け、2人の患者さんに同時並列で移植)を実施できるまでになった。
  •  肺移植プログラムは、白石武史 診療教授(臓器移植医療センター長)がリーダーとなって移植チームを牽引、岩﨑昭憲 教授(福岡大学総病院長、福岡大学病院病院長)、佐藤寿彦教授(呼吸器・乳腺内分泌・小児外科)のスタッフによって肺移植チームが構成されている。