幼虫ゴキブリのフェロモンに反応する感覚神経の存在を世界で初めて発見

ゴキブリ駆除に応用可能
福岡大学理学部地球圏科学科の渡邉英博助教と京都大学大学院農学研究科の佐久間正幸名誉教授の研究チームは、衛生害虫であるワモンゴキブリの幼虫が性フェロモンと集合フェロモンを高感度で受容できる感覚神経を持つことを世界で初めて明らかにしました。
この研究成果は、2020年2月6日に英国科学雑誌『Scientific Reports』オンライン版に掲載されました。
これまで、性行動を起こさず、性フェロモンの受容器を持たない昆虫の幼虫は、性フェロモンを受容しないと考えられてきました。これに対し、福岡大学大学院理学研究科の大学院生が中心となり研究をおこない、ワモンゴキブリの幼虫における集合フェロモンと性フェロモンの受容過程を、フェロモンを受容する感覚細胞から神経応答を記録することで解き明かしていきました。その結果、ワモンゴキブリの幼虫の触角で、集合フェロモンを受容する感覚細胞と性フェロモンを受容する感覚細胞が、これまで報告されていなかった新たな嗅覚受容器内に存在することが明らかになりました。
今回発見された感覚細胞は、ごく微量な集合フェロモンにも十分に反応します。この集合フェロモンはワモンゴキブリの糞に含まれていることから、ゴキブリの防除のためには、糞が残らないような清浄な空間を維持することが望ましいことを示唆しています。また、集合フェロモンや性フェロモンを用いた駆除トラップをつくることで、ゴキブリ駆除の新たな手段を生み出す手がかりともなることでしょう。
 
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