世界初「ミツバチのダンス」から蜜源への距離を読み取る脳機構に関する新発見が『J.Neurosci』に掲載(福岡大学理学部・藍助教)

福岡大学理学部地球圏科学科の藍浩之助教(専門:神経行動学)が、ミツバチの尻振りダンスに暗号化された距離を検出する神経回路を発見し、2017年10月9日付の『Journal of Neuroscience』に掲載されました。

ミツバチが花の蜜のありかを仲間に知らせる際に「尻振りダンス(waggle dance)」をすることが知られたのは1967年(1973年に同研究はノーベル生理学・医学賞を受賞)ですが、巣の仲間がどのように尻振りダンスから、蜜源への距離を検出するのかは長年明らかになっていませんでした。

藍助教は福岡大学七隈キャンパスにある巣箱の採餌バチを対象に脳の研究を続け、ダンスで生じる特徴的な音から距離を検出する脳神経回路を発見しました。

この発見は世界初であり、今後ミツバチのダンス言語解読の脳機構の解明が期待されます。

※本研究はJSPS科研費 JP15K14569の助成を受けたものです。

花から帰巣したミツバチは、花への距離と方向(ベクトル)を巣の仲間に知らせる尻振りダンスを踊る(白実線は尻振りの軌跡、白点線はリターンの軌跡)。本研究では、ダンス追従蜂がこのダンスから蜜源への距離を検出する神経機構を、神経生理学的、計算機神経科学的に証明した。尻振りダンスに追従するミツバチの脳内では(左画像の緑四角)、聴覚性神経(右画像の水色、黄色、赤色)がお互いに連絡しあいながら蜜源への距離を検出する。

【お問い合わせ先】
福岡大学理学部地球圏科学科 助教 藍 浩之
電話:092-871-6631(代)(内線:6275)E-mail: ai★fukuoka-u.ac.jp
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