「レビー小体型認知症」の早期発見につながる検出方法を発表

認知症患者の約2割、90万人が罹患
三大認知症の1つ
 

福岡大学薬学部の佐野和憲講師の研究グループが、長崎大学医歯薬学総合研究科の西田教行教授の研究グループと共同で、3大認知症の一つである「レビー小体型認知症」の病原性タンパク質(α-シヌクレイン)を高感度に検出する方法についての論文「Prion-Like Seeding of Misfoldedα-Synuclein in the Brains of Dementia with Lewy Body Patients in RT-QUIC」をアメリカの医学雑誌『Molecular Neurobiology』で発表しました(論文はこちら)。この方法により、「レビー小体型認知症」を早期に発見できるようになることが期待されています。

レビー小体型認知症は、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症とともに3大認知症の1つで、国内では認知症患者の約2割、推定90万人が罹患していると言われています。65歳以上での罹患率が高く、日本のみにとどまらず、老齢化の進む先進国において克服すべき重要な課題となっています。病態機構の解明や有効な診断・治療法の開発が必要ですが、現時点では発展途上の段階です。発症早期に正確な診断を行い、治療を開始することが重要であり、早期確定診断法の確立が望まれています。

現在の診断方法は、臨床症状に加えて、MRI検査による脳萎縮像とガンマカメラを用いたSPECT検査での脳血流低下部位の解析等により行われていますが、これらの方法による診断の精度は低く、検査費用は高額でもあります。

本研究は、病原性α-シヌクレインを試験管内にて増幅する方法で、比較的安価に検査することが可能であり、「レビー小体型認知症」の早期確定診断法の確立に大きく貢献すると考えられます。さらに今後、この方法を利用した「レビー小体型認知症」の病態機構の解明、また病原性α-シヌクレインを抑制する化合物の探索により有効な治療法開発にも展望が得られることが期待できます。

 

【お問い合わせ先】
 
福岡大学薬学部 講師 佐野 和憲 
電話:092-871-6631(代)(内線:6681)
E-mail:ksano★fukuoka-u.ac.jp
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