英国科学誌『Nature』へ論文掲載 福岡大学理学部・川田知教授開発の金属錯体 太陽光エネルギーを変更して人工光合成技術の開発へ

自然科学研究機構分子科学研究所の正岡重行准教授、近藤美欧助教、総合研究大学院大学の岡村将也博士課程大学院生らの研究グループは、福岡大学理学部化学科の川田知教授と共同で、植物の光合成よりも高い効率で水から酸素を発生する鉄錯体(鉄イオンと有機分子が結合した構造を持つ化合物)の開発に成功し、2016年2月11日に英国科学誌『Nature』のオンライン速報版で公開されました。

この研究は、福岡大学をはじめ、自然科学研究機構分子科学研究所、総合研究大学院大学、熊本大学、佐賀大学との共同研究で行われ、福岡大学理学部化学科の川田知教授が開発した錯体が使用されました。
川田教授の専門は金属錯体です。金属錯体は、新幹線の青色の顔料(銅イオン)や制癌剤(シスプラチンなど)などに使われている化合物で、生体内にもさまざまな種類の金属錯体が存在します。

2011年、本学学生が金属錯体に関するポスター発表を行いました。それを自然科学研究機構分子科学研究所の正岡准教授が見て、川田教授の錯体に関心を持ち、今回の共同研究となりました。川田教授が開発した金属錯体の特徴は分子内に5つの鉄イオンが凝集されている点で、今回の共同研究のポイントの一つです。また、この特徴は、太陽光のエネルギーを貯蔵可能な化学エネルギーへと変換する人工光合成技術の開発への大きな一歩でもあります。

【お問い合わせ先】
福岡大学理学部化学科教授 川田 知
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