学生による戦災図書復旧充実運動が大学昇格の原動力に

今年、創立80周年を迎えた福岡大学。その発展の歴史に感動のエピソード
69年前の6月19日、福岡大空襲で図書館が焼失
 

昭和20年6月19日夜半、福岡市はB29爆撃航空機221機の爆撃を受け、市中心地をはじめ周辺地区に焼夷弾の雨が降りそそぎ大火災となり、死者902人、負傷者1,078人、行方不明244人の被害を受けたといわれています(『福岡の歴史』)。

福岡大学の前身校である九州経済専門学校の図書館は、この福岡大空襲によって焼失し、敗戦を迎えた8月15日の学校付近は惨憺たる荒れ野の状態でした。

翌年の昭和21年4月、九州経専から福岡経済専門学校に改称しました。その頃、文部省は新学制改革で専門学校の大学昇格案を出しました。その条件には図書1万冊が必要であったのですが、福岡大空襲で図書が焼かれ蔵書がありません。これがきっかけで学生の手によって福岡経専戦災図書復旧充実運動が始まったのです。福岡経専の図書購入数は年間30から50冊程度で、大学昇格条件の1万冊にはほど遠く、学生たちは図書購入の資金集めに奔走しました。地方で劇団の公演をやったり、バザーを開いたり、卒業生の多大な協力もあったそうです。

風化されがちな福岡大空襲の記憶。このエピソードを通じて語り継いでいただければと願うものです。福岡経専戦災図書復旧充実運動については、別添の『七隈の杜』第2号抜粋および同第3号をご覧ください。

 

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