医学部医学科入学者選抜に係る本学の対応と経緯等の説明について

福岡大学

医学部医学科入学者選抜に係る本学の対応と経緯等の説明について
 

本学医学部医学科の入学試験の一般入試(系統別日程)二次選考及びA方式推薦入試において、現役・浪人という属性により調査書(評定平均値)評価に差異を設ける不適切な取り扱いを行い、受験生をはじめ関係の皆様に対し不安とご迷惑をおかけしましたことを深く反省しております。特に、医学部医学科入学試験の一般入試(系統別日程)二次選考及びA方式推薦入試選考にかかる受験生には、心よりお詫び申し上げます。

本学は、本件に関する第三者を含む調査委員会から平成31年3月26日付報告書を受理し、その内容を精査したうえで、本学としての対応を平成31年3月29日に公式ウェブサイトにて公表しました。改めて、このたびの対応や経緯等についてご説明申し上げます。

1.昨年12月に、従前の調査書(評定平均値)評価において、現役・浪人という属性により一律に点数に差異を設けたことは、不適切であったと考えるに至った後、これまでの調査書(評定平均値)の評価方法から不適切性を排除し、合格再判定を行うことについて検討を重ねてきました。
① 調査書(評定平均値)評価において、現役・浪人の属性によらず同じ方法で調査書を評価するのが最も適正な再評価方法ですが、一方で、受験生の中には、高等学校卒業程度認定試験合格者や調査書の保存期間5年を経過したこと等を理由に調査書が提出できず、評定平均値の確認ができない方が複数存在しており、この方々に評価点をつけることはできません。
従いまして、公平性の観点から、調査書(評定平均値)を再評価することはあきらめざるを得ませんでした。この調査書評価における不適切な取り扱いを単純には取り除けない点は、本学特有の状況だと思います。
② 調査書(評定平均値)を再評価しないとすると、合格再判定には複数の方法が考えられます。特に、調査書(評定平均値)の配点全部を全員に加点する方法と調査書(評定平均値)の評価を全員0点にする方法は、いずれも公平そうな再評価方法です。後者の場合は、面接点と筆記試験の得点で満点になり得るように、面接点を再計算します。
しかし、この二つの方法を用いて合格再判定のシミュレーションを行うと、複数の受験生の合格が不合格に、あるいは不合格が合格に変わります。このシミュレーション結果は、一見公平そうに思える二つの合格再判定方法が実はそうでないということを示しています。これら以外にも合格再判定方法があり、やはり複数の受験生の合否が変わってしまいます。

以上のような検討を踏まえ、調査委員会から報告書を受理する前には、公正な合格再判定は困難であるとの見解に至っておりました。

2.第三者を含む調査委員会から報告書の提出を受け、直ちに記載内容の確認と対応等について検討をいたしました。特に、報告書の「追加入学の措置をとることまで要求されるものではない」(P14)との提言に関しては、大学の判断として追加入学という措置をとる余地がないか、入念に検討いたしました。
① まず、報告書の「不利益を受けたと想定される者の特定」(P13)で行われたシミュレーションは、本学が1②で行ったシミュレーションの内の一つでありました。さらに、報告書ではこの「シミュレーション方法が唯一無二の正確性を有するかという点については異論のあり得るところであって、異なる考え方に基づいてシミュレーションを施せば、これらの者の範囲に差異が生じることになる。その範囲を誤れば、過去の受験者間において、救済の名の下に著しく不公平な事態を招来する結果となりかねない」(P14)と指摘し、これを上記提言の理由の一つとして挙げています。報告書のこの指摘内容は、1で述べたように、本学が合格再判定を検討し、最終的にたどり着いた見解に一致するものでありました。
② また、追加入学の措置は、「現在在籍する学生に対しても、実習等の際の施設利用面や教員の確保等で重大な影響を与えることは必至である」「在学生の教育環境の充実という要請を一定程度犠牲にしてもやむを得ないと考えられる場合に考慮されるべき選択肢である」といった報告書の提言に鑑み、医療人を育成して社会に送り出す責務を負っている大学として、在学生の教育環境の維持についても考慮せざるを得ないと考えました。

以上の経緯を経て、本学は報告書の提言に従い、追加入学という措置をとらないことにいたしました。

3.1で述べたように、公正な合格再判定による合格者の特定が困難である状況に鑑み、平成29年度及び平成30年度医学部医学科入学者選抜試験において、不適切な調査書評価の対象とならざるを得なかった方々に対して、すなわち、医学部医学科一般入試(系統別日程)二次選考及びA方式推薦入試を受験された皆様全員(本学医学部医学科に入学された方を除く)に、慰藉並びに入学検定料の返還を合わせ、お一人当たり金壱拾萬円をお支払いすることを大学として決定させていただいた次第です。

本日(令和元年5月31日)、慰藉並びに入学検定料の返還の対象となる方々には、出願時に登録されたご住所へ関係書類をお送りしました。返還等には数週間の時間を要しますが、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
また、慰藉並びに入学検定料の返還の対象となる受験生の方々で、関係書類が届かない方、出願当時のご住所が変わった方は、福岡大学入試課までご連絡ください。

改めて、このたびの不適切な調査書評価の取り扱いを深く反省し、受験生をはじめ関係の皆様に対し、お詫び申し上げます。
本学は、すでに、平成31年度入試から、現役・浪人という属性により一律に点数に差異を設ける不適切な取り扱いを取り止めております。また、これからも、第三者を含む調査委員会による報告書の提言を踏まえ、再発防止に努めるとともに、公正かつ妥当な方法による入学者選抜を心掛け、以下のとおり実施してまいります。
① 上述のような現役・浪人という属性による一律的な差異を取り除き、全国医学部長病院長会議の「大学医学部入学試験制度に関する規範」に従い実施します。
② 調査書の評価については、医師としての資質に関する内容(医学を学ぶ意欲、勤勉さ、誠実さ、他者への理解など)を精査して活用し、平成30年度入試まで行ってきた評定平均値の点数化は廃止します。
③ 面接については、コミュニケーション能力、表現力、倫理観、使命感を評価し、これまで以上に一人ひとりの人物評価を丁寧に行い選考します。

最後に、本学の対応と経緯等の説明について、ご不明な点やお尋ねになりたいことがございましたら、福岡大学までお問い合わせください。よろしくお願い申し上げます。

以 上