
ドクターカーで救急現場へ駆け付け、すぐに高度治療を開始することで救命率を上げる。
石倉 宏恭
Hiroyasu Ishikura
- 福岡大学病院副病院長
- 福岡大学病院救命救急センター長
- 医学部教授
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【乗用車型ドクターカー「FMRC」を運用】
ドクターカーとは、消防本部からの要請を受けて患者のいる現場に医師や看護師を派遣する車両。福岡大学病院は平成30年1月4日から、コンパクトな乗用車型ドクターカー(FMRC:エフマーク)の運用を開始します。乗用車型は高規格の救急車型とは違い患者の搬送はできませんが、医師や看護師が素早く現場に直行できることで、救命士にはできない高度治療をいち早く施すことができます。
FMRC:Fast Medical Response Car -
【心肺蘇生が1分遅れると、生存率は7~10%低下】
命を取り留めても脳にダメージが残る可能性を考えると、1秒でも早く心臓の動きを再開させる必要があります。人口増加が続く福岡都市圏の救急要請は増加するばかり。乗用車型ドクターカーは、重症患者さんの早期治療開始に重要な役割を担っています。 -
【攻めの救急医療】
これまでの救急医療は医師が病院で待機し、救急車で搬送される患者さんを待って治療していました。私の考える救急医療は、1秒でも早く患者さんと接し治療を開始する「攻めの救急医療」です。「救うべき命があれば、ドクターカーやドクターヘリで出向いてでも治療します」。それを実践するために、今回FMRCを導入しました。福岡南西部の救急対応を24時間体制で担う最後の砦として、「われわれが何とかする」という気持ちで日々任務にあたっています。
(2017年12月25日)