理学研究科 植木洸亘さんが「第24回大気化学討論会」で学生優秀発表賞を受賞

11月5日(火)から7日(木)までの3日間、愛知県蒲郡市で開催された「第24回大気化学討論会」で、福岡大学大学院理学研究科1年次生の植木洸亘さんが学生優秀発表賞を受賞しました。

植木さんが研究する「大気化学」とは、地球大気中の化学物質循環を研究するもので、オゾン層破壊や地球温暖化、大気質の悪化や酸性雨など、地球の環境問題と密に関わっている分野です。日本では日本大気化学会が大気化学における中心的な活動を行っており、その学会が主催する「大気化学討論会」には、日本のみならず、海外からも多くの研究者が集います。

植木さんは、大気汚染物質の一つである窒素酸化物 (NOx) についての拡散過程に興味をもち、観測装置を制作して福岡市内の複数地点で観測を行ってきました。窒素酸化物は、都市では車や工場からの化石燃料の燃焼によって排出され、人体へ悪影響を及ぼしたり、光化学スモッグや酸性雨の原因になります。

今回の討論会で発表したテーマ「2地点MAX-DOAS観測とドップラーライダーの風観測を統合したNO2の時空間変動要因解析」は、福岡市の2地点(福岡大学と薬院)にMAX-DOAS*と呼ばれる観測装置を設置して二酸化窒素(NO2) の鉛直分布の連続観測を行い、福岡都市圏の窒素酸化物拡散について明らかにしようとするものです。観測の結果、排出された窒素酸化物が鉛直・水平方向に拡散する過程をとらえることができ、また、観測したNO2 の拡散過程と大気の流れが整合的であることを見いだしました。

今回の受賞を受けて植木さんは、「学生優秀発表賞をいただき、大変光栄に思います。この賞は懇切丁寧に指導いただいた高島先生をはじめ関係する方々のおかげです。この賞に恥じぬよう、今後とも日々の研究に精進していきたいです」と話しました。

*MAX-DOAS(複数仰角における太陽散乱光分光計測・差分吸収測定法)は太陽光を利用して、地表付近の様々な大気中の成分濃度の鉛直分布を連続観測する観測手法です。
 


「学生優秀発表賞」の受賞を受けてコメントする植木さん