令和7年4月
令和7年度 学校法人福岡大学収支予算について
学校法人福岡大学の令和7年度予算は、3月27日に開催された理事会および評議員会の承認により成立しました。令和7年度予算は、①教育、研究、医療体制の整備・充実、②先進的で高度な研究活動の遂行、③組織再編、集約による人員の適正化および人件費比率の低減、④既存予算の抜本的見直しによる経費削減、⑤耐震対策およびバリアフリー化等の工事の実施、⑥病院経営基盤の強化、⑦教育研究メディアシステム(第二世代)の構築およびDXの推進を重点施策に挙げて編成しています。以下、簡単にその概略を報告します。
教育関係では、学内情報システム更新費用や、高等教育支援制度の授業料等減免およびFUスカラシップを計上しています。研究関係では、若手・女性研究基盤構築支援事業、領域別重点研究、研究ブランディング事業「カーボンニュートラル推進プロジェクト」、女性研究者研究活動支援事業費に係る支出を計上しています。また、医学部研究棟別館耐震改修工事に伴う医学部別館・本館移転業務委託費を計上しています。さらに、学長のガバナンス強化のため「学長裁量経費」を前年度に引き続き計上しています。
令和7年度事業活動収支予算は次のとおりです。経常的な収支のうち、本業の教育活動の収支を見る教育活動収支差額は、43億200万円(決算の段階で、ほぼ教育活動支出に充当している予備費を控除すると△44億9,400万円)の支出超過となり、前年度予算との比較で39億400万円収支が悪化しています。これは、経常費等補助金が4億2,500万円、雑収入が3億7,400万円減少した一方で、医療収入が25億6,400万円、人件費が24億2,800万円、教育研究経費が36億9,100万円それぞれ増加したためです。教育活動収支差額と教育活動外収支差額を合わせた経常収支差額は32億5,300万円(予備費控除後では34億4,500万円)の支出超過となり、前年度予算との比較で37億3,800万円減少しています。施設・設備関係の補助金、資産の売却や処分等に係る臨時的な収支を見ることができる特別収支差額は3億4,900万円の収入超過となり、前年度予算との比較で4,400万円減少しています。基本金組入前当年度収支差額は、毎年度における基本金組入前の収支の状況を見ることができるもので30億9,600万円の支出超過となり、前年度予算との比較で35億9,400万円悪化しています。基本金組入額は、良好な教育・研究・医療環境を維持するための施設・設備等の取得費であり、131億3,500万円となっています。以上の結果、当年度収支差額は162億3,100万円の支出超過となっています。
全体的な経営状況を見ることができる事業活動収支差額比率は、法人全体で△3.45%です。経営指標では50%以下が望ましいとされる経常収入に対する人件費比率は法人全体で48.1%であり、前年度予算より1.5ポイント上昇しています。人件費は事業活動支出の中でも最大の部分を占めており、引き続き注意を払う必要があります。
本法人の令和7年度事業活動収支予算は、経常的な収支バランスを見る経常収支差額が34億4,500万円(予備費控除後)の支出超過となり、日本私立学校振興・共済事業団が作成している「定量的な経営判断指標に基づく経営状態の区分」によれば、経常収支差額比率10%(本法人では約90億円)以上の黒字が正常状態とされていることを考慮すると、安定性および健全性に欠けた予算であると言わざるを得ません。
学校法人の永続性の担保となる財政基盤の早期確立は喫緊の課題であり、現在、大学部門においては、様々な財政健全化に向けた取り組みを検討しています。また、病院部門においても、経営改革の実行を急ぐべく様々な改善計画を策定中です。
本学関係者のご理解とご協力をよろしくお願いします。