令和5年度予算

令和5年4月

令和5年度 学校法人福岡大学収支予算について

学校法人福岡大学の令和5年度予算は、3月30日に開催された理事会および評議員会の承認により成立しました。令和5年度予算は、①ウィズコロナに対応した教育、研究、医療体制の整備・充実、②先進的で高度な研究活動の遂行、③組織再編、集約による人員の適正化および人件費比率の低減、④奨学金充実に向けた第3号基本金の拡充、⑤既存予算の抜本的見直しによる経費削減、⑥耐震対策の設計およびバリアフリー化工事の実施、⑦病院経営基盤の強化を重点施策に挙げて編成しています。以下、簡単にその概略を報告します。

教育関係では、高等教育支援制度の授業料減免およびFUスカラシップを奨学費として計上しています。また、学部教育充実予算・大学院文系研究科教育研究充実特別経費予算、A棟・8号館・工学部他のマルチメディア設備更新等も盛り込まれています。研究関係では、若手・女性研究基盤構築支援事業、領域別重点研究、領域別研究部研究チーム、研究ブランディング事業「カーボンニュートラル推進プロジェクト」、女性研究者研究活動支援事業費に係る支出を計上しています。施設関係では、令和5年度までの継続事業となる「福岡大学病院新本館(仮称)新築工事」等を計上しています。さらに、学長のガバナンス強化のため「学長裁量経費」を前年度に引き続き計上しています。

令和5年度事業活動収支予算は次のとおりです。経常的な収支のうち、本業の教育活動の収支を見る教育活動収支差額は、1,300万円(決算の段階で、ほぼ教育活動支出に充当している予備費を控除すると△3億6,700万円)の収入超過となり、前年度予算との比較で10億1,900万円悪化しています。これは、学生生徒等納付金が1億3,900万円、経常費等補助金が4億3,900万円減少した一方で、医療収入が26億3,500万円増加したものの、人件費が5億7,400万円、教育研究経費が27億1,300万円増加したためです。教育活動収支差額と教育活動外収支差額を合わせた経常収支差額は13億6,800万円(予備費控除後では9億8,800万円)となり、前年度予算との比較で5億6,400万円減少しています。施設・設備関係の補助金、資産の売却や処分等に係る臨時的な収支を見ることができる特別収支差額は2億4,700万円となり、前年度予算との比較で4,000万円増加しています。基本金組入前当年度収支差額は、毎年度における基本金組入前の収支の状況を見ることができるもので12億3,500万円となり、前年度予算との比較で3億9,700万円減少しています。基本金組入額は、良好な教育・研究・医療環境を維持するための施設・設備等の取得費であり、243億8,700万円となっています。以上の結果、当年度収支差額はマイナス231億5,300万円となっています。

全体的な経営状況を見ることができる事業活動収支差額比率は、1.5%です。経営指標では50%以下が望ましいとされる経常収入に対する人件費比率は49.1%であり、前年度予算より1.1ポイント低くなっています。人件費は事業活動支出の中でも最大の部分を占めており、引き続き注意を払う必要があります。

本法人の令和5年度事業活動収支予算は、経常的な収支バランスを見る経常収支差額が9億8,800万円(予備費控除後)となり、収入超過ではありますが、日本私立学校振興・共済事業団が作成している「定量的な経営判断指標に基づく経営状態の区分」によれば、経常収支差額比率10%(本法人では約85億円)以上が正常状態とされていることを考慮すると、安定性および弾力性に欠けた予算であると言わざるを得ません。

経済面においては、燃料や資源価格の高騰、円安による輸入コストの増加により物価上昇が続くなど、本学をめぐる経営環境は、年々厳しさを増す一方です。

「福岡大学中長期計画」に基づく事業計画を進めるために、限られた財源を重点事業に傾斜配分するとともに、経常的な経費については、コストに見合う教育・研究・医療サービスを提供しているか、点検・見直しを行っていくことが必要になってきます。

本学関係者のご理解とご協力をよろしくお願いします。