令和4年度予算

令和4年4月

令和4年度 学校法人福岡大学収支予算について

学校法人福岡大学の令和4年度予算は、3月29日に開催された理事会および評議員会の承認により成立しました。令和4年度予算は、①学生、患者および教職員の安全を確保するための体制整備、②ウィズコロナに対応した教育、研究、医療体制の整備・充実、③奨学金充実に向けた第3号基本金の拡充、④組織再編、集約による人員の適正化および人件費比率の低減を重点施策に挙げて編成しています。以下、簡単にその概略を報告します。

教育関係では、令和2年度に開始された高等教育の修学支援新制度に基づく奨学費を計上しています。また、学部教育充実経費、A棟、5号館、医学部中講堂他の設備一式更新等も盛り込まれています。研究関係では、基盤研究機関研究所として4研究所、産学官連携研究機関研究所として4研究所、産学官共同研究機関研究所として11研究所に係る支出を計上しています。施設関係では、令和5年度までの継続事業となる「福岡大学病院新本館(仮称)新築工事」等を計上しています。コロナ関係では、PCR検査に関する経費、入試に関する経費、遠隔授業に関する経費等を計上しています。さらに、学長のガバナンス強化のため「学長裁量経費」を前年度に引き続き計上しています。

令和4年度事業活動収支予算は次のとおりです。経常的な収支のうち、本業の教育活動の収支を見る教育活動収支差額は、10億3,200万円(決算の段階で、ほぼ教育活動支出に充当している予備費を控除すると5億2,400万円)の収入超過となり、前年度予算との比較で7,700万円改善しています。これは、手数料が1億8,000万円減少し、教育研究経費が20億3,900万円増加した一方で、医療収入が11億8,000万円増加し、人件費が14億4,100万円減少したためです。教育活動収支差額と教育活動外収支差額を合わせた経常収支差額は19億3,300万円(予備費控除後では14億2,600万円)となり、前年度予算との比較で1億1,600万円増加しています。施設・設備関係の補助金、資産の売却や処分等に係る臨時的な収支を見ることができる特別収支差額は2億700万円となり、前年度予算との比較で1億2,800万円増加しています。基本金組入前当年度収支差額は、毎年度における基本金組入前の収支の状況を見ることができるもので16億3,200万円となり、前年度予算との比較で2億4,400万円増加しています。基本金組入額は、良好な教育・研究・医療環境を維持するための施設・設備等の取得費であり、72億9,000万円となっています。以上の結果、当年度収支差額はマイナス56億5,800万円となっています。

全体的な経営状況を見ることができる事業活動収支差額比率は、2.0%です。一方、経営指標では50%以下が望ましいとされる経常収入に対する人件費比率は50.2%であり、前年度予算より2.3ポイント低くなっています。人件費は事業活動支出の中でも最大の部分を占めており、引き続き注意を払う必要があります。

本法人の令和4年度事業活動収支予算は、経常的な収支バランスを見る経常収支差額が14億2,600万円(予備費控除後)となり、前年度と比較すると改善していますが、日本私立学校振興・共済事業団が作成している「定量的な経営判断指標に基づく経営状態の区分」によれば、経常収支差額比率10%(本法人では約80億円)以上が正常状態とされていることを考慮すると、安定性および弾力性に欠けた予算であると言わざるを得ません。

コロナ禍による受験生の大学志願動向の変化に伴う志願者数減少、私立大学等経常費補助金が不交付になる入学定員超過率の厳格化、大学設置基準による平均入学定員超過率に係る要件の厳格化等、福岡大学をめぐる経営環境は、年々厳しさを増す一方です。

「福岡大学中長期計画」に基づく事業計画を積極的に支援し、限られた財源を重点事業に傾斜配分するとともに、経常的な経費については、コストに見合う教育・研究・医療サービスを提供しているか、点検・見直しを行っていくことが必要になります。

本学関係者のご理解とご協力をよろしくお願いします。