〔学生取材コラム〕津和野の田んぼ復興活動の取材―「誰かのために」―

2013年8月に宮城県でボランティア活動を行った東日本災害ボランティア「第3次福岡大学派遣隊」のメンバーが、九州近隣にある自然災害地のボラ ンティア活動を行おうと立ち上がり、2013年11月10日(日)と16日(土)に島根県鹿足郡津和野町で活動を行いました。二日間で延べ58人の学生および4人の職員が参加し、田んぼに流入した土砂の撤去等の作業を行いました。豪雨により被災した現地は高齢化が進む農村地帯で、離農も余儀なくされるような農家がある中、田んぼの復旧には若い力を必要としていました。

学生広報サポーター(登録者)3人が、活動を行った学生に取材をしました。全3回にわたって紹介するシリーズの第3回を紹介します。

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■ 第3回 「誰かのために」 ■

今年の11月10日(日)、11月16日(土)の2回にわたり、福岡大学の学生課の募集に集まった31人(男17人女14人)が7月に豪雨による災害に見舞われた島根県鹿足郡津和野町吹野で近隣災害ボランティアの活動を行った。

今回は2回ともボランティアに参加した人文学部英語学科4年の森さや子さんにお話をうかがった。森さんがボランティアに参加した一番大きな要因は両親の影響だった。海外援助のボランティアなどを積極的に行っていた両親の姿を見て、森さんも幼いころから自分のお年玉を募金したりしていた。今回のボランティアにも「大学生という時間を無駄に過ごすのではなく誰かの役に立ちたい」という思いから参加を決意した。

島根県鹿足郡津和野町吹野はお年寄りの方が多い過疎化の進む農村地帯で、今回のボランティアは田んぼに流入、堆積した土砂を運び出し、田んぼを使える状態に戻すというものだった。被害から半年近く経っていたため、豪雨の直後に比べて多少は田んぼの状態はよくなっていたが、それでもまだお年寄りの方が一人でどうにかできる状態では全くなかった。ほぼ力作業だったため体力的につらい部分もあったが、自由に動ける自分が動かなくてはと思い一生懸命作業を行った。特に11月10日は天候が悪く、思うように作業を進めることができないなどのアクシデントもあったが、メンバー全員で一致団結して乗り越えた。

活動の中で印象に残っていることがある。それは今回の被害で農業を続けていくことを諦めていた方が「ボランティアの活動によりもう一度農業を続けていこうと思った」と言ってくれたことだ。自分たちの活動で被害にあった方が前を向いてくれた、そのことが素直に嬉しかった。

森さんは今回の活動を通して「実際に行かないと分からないことはたくさんある。一回参加すると考え方などがガラッと変わるので、ぜひたくさんの人に積極的に参加してほしい。ボランティアの参加人数が増えれば、活動の幅も広がるし、特に実際の現場では若い人の力というものが必要とされていることを強く感じた」 と語ってくれた。

私たちは幼いころ、誰かのために無償で何かをするということに何の抵抗も感じていなかった。しかし大人になっていくにつれて、様々な要因により簡単にできなくなってしまったように思う。「誰かの役に立ちたいから」「自分が必要とされていると聞いたから」このようなシンプルな 気持ちから生まれる行動にはたくさんの人々を笑顔にする力がある。必要なのは一歩踏み出す勇気だけだ。

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  • 津和野の田んぼ復興活動の取材(第1回)「得たこと、学んだこと」はこちら
  • 津和野の田んぼ復興活動の取材(第2回)「ボランティアで広がる繋がり」はこちら
  • 東日本大震災に対する本学の対応はこちら