〔研究者コラム〕ー「未来の貿易と社会貢献(第1回)」カステラのつながりー

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田代安彦教授

今回から全5回シリーズで「未来の貿易と社会貢献」と題したコラムを紹介します。担当するのは商学部の田代安彦教授です。

田代教授はかつて出光興産に勤務し、約11年間中東を中心に海外5カ国に駐在。エネルギー分野での通商を担当していました。1990年クウェート駐在時には湾岸戦争に遭い、家族と共にイラク軍の人質になった経験もあります。

商学部では海外での豊富な実務経験を生かし「貿易商務論」を担当。実業と学業の架け橋を目指して活動しています。

田代教授のプロフィルや研究情報はこちらをご覧ください。

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貿易というと、国境を越えた人、物、お金、その組み合わせや仕組み、物流等が取引対象となります。時代と共にその環境やニーズは変化していますが、その目的はかつての一方的獲得から、世界人類のお互いの幸せのためにと変化し、これはこれからも揺るぎないと思います。

では、未来の貿易を考える上で大切なことは何か考えてみましょう。

まずは、自分自身や自国の事を知ることです。例えば、ポルトガルから日本に伝わったカステラですが、食べやすいようにカットされているものとカットされていないものとがあります。何故カットされていないものもあるのかと外国人に聞かれたら、皆さんは何と答えますか?

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正解は、おめでたいことなどがあった時の贈答品として「表面が切れていない=縁が切れない」カステラを送るためです。

国際化というとまずは英語と考えますが、実は英語で話す中味が大切です。どうしてと聞かれて、自身の持つ歴史、文化を説明でき、理解してもらう。これが貿易の第一歩なのですね。福岡大学商学部では、毎年海外交流ゼミでタイや韓国に行き、現地の企業、大学とさまざまな交流をしていますが、学生が帰ってきて言うコメントは、まず「日本のことをもっと勉強しておけば良かった」ということです。

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