〔研究者コラム〕ー「磁石と省エネルギー(第2回)」動力の要:モーターー

全6回シリーズで、「磁力と省エネルギー」に関するコラムを紹介しています。紹介するのは、理学部物理科学科の眞砂卓史准教授で、研究分野は「物性(スピントロニクス)」です。

眞砂准教授のプロフィールや研究情報等はこちらからご覧ください。

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【第2回 「動力の要:モーター」】

磁石の応用としては、何といってもモーターが挙げられます。ハードディスクドライブ(HDD)やCDのディスク回転、エアコンのコンプレッサー、ハイブリッドカーの駆動用モーター、ドア開閉のリニアモーター等々、探し始めたら切りがありません。

日本の電力の半分はモーターが消費しているといわれているので、モーターの効率化は省エネに大きく寄与します。モーターの消費電力を2%削減するだけで、100万kWの発電所1台分の発電量を削減できる計算になります。

モーターの駆動には磁場(磁界)が欠かせませんが、電流を使って磁場を発生させる場合に比べ、永久磁石を用いた方がずっと省エネになります。永久磁石モーターは、以前は小型モーターに限定されていましたが、強力磁石のおかげで大型モーターにも使われるようになってきました。この強力磁石が前回紹介したネオジム磁石です。

なぜモーターに磁場が必要なのでしょうか?図1は構造の簡単な永久磁石直流モーターです。磁石によって磁場が生じます。磁場中の導体に電流を流すと、磁場の方向と電流の方向の双方に直角な方向に力が生じ(フレミングの左手の法則:図2)、回転力が生まれます。半回転したところで、電流を流す接点のつながりが切り替わるようになっています(この接点のことをブラシと言います)。

このおかげで、磁場の方向と導線に流れる電流方向の関係がいつも同じになり、導線が同じ方向に力を受けるので回り続けるというわけです。

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図1 直流モーターの概略図

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図2 フレミングの左手の法則

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