〔研究者コラム〕ー「花粉症(第1回)」 花粉症とはー

今回から6回にわたり、「花粉症」に関するコラムを紹介します。紹介するのは、福岡大学筑紫病院耳鼻いんこう科の坂田俊文准教授です。研究分野は「耳鼻咽喉科学」で、福岡大学筑紫病院耳鼻いんこう科の診療部長を務めています。

坂田准教授のプロフィールや研究情報等については、こちらからご覧ください。

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【第1回 「花粉症とは」】

花粉症はアレルギー性鼻炎の中で、植物の花粉を原因として発症するものの総称です。原因となる花粉は約60種が知られており、一年を通して何らかの花粉が飛散しています。中でもスギ、ヒノキは代表的なもので、それぞれスギ花粉症、ヒノキ花粉症と呼ばれます。日本では1960年頃からスギ花粉の飛散量が増加しており、これに呼応するようにスギ花粉症も増えています。スギ花粉が増えた最大の要因は、太平洋戦争後の復興事業として行われたスギの植林と、その後のメンテナンス(伐採や間伐)の停滞と考えられています。発病年齢は広範囲に及び(図)、今や日本人の4~5人に1人が花粉症という時代を迎えています。


さて、花粉症の根幹となるアレルギーとはどのような状態なのでしょうか。人体には細菌やウィルスから体を守る「免疫」という力が備わっています。アレルギーはこの「免疫」が過剰になった状態です。例えば、家屋(人体)に侵入するネズミ(細菌やウィルス)を目当てに一匹のネコ(免疫細胞)が住み着いているとします。このネコが十分なしつけの下にネズミを駆除する状態は「免疫」です。
 

一方、侵入するネズミが増えた場合、知らない間に多くのネコが住み着くようになり、好き勝手にネズミを追い回し始めたとします。このネコたちが家中を荒らした上、辺り構わず糞をするようになると、もはやネズミの駆除に見合わない不利益が生じます。いわばこの状態がアレルギーです。花粉症における不利益とは、すなわち、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、眼のかゆみなどです。

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