〔研究者コラム〕「クリスマス(第2回)」ー光を求める季節ー(人文学部ドイツ語学科・有馬良之准教授)

12月に入り、街は一気にクリスマスムード。今回は、「クリスマス」をテーマに、3人の先生がコラムをお届けしています。第2回は第1回に引き続き人文学部ドイツ語学科の有馬良之准教授がお届けします。

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ニュルンベルクのクリスマス市

「世の光」であるイエスの誕生を待ちわびる時間、キリスト教ではこれを待降節(Advent)と呼び、12月25日までの4週間をこれにあてています。この期間を光で彩るのが、クリスマス市とアドヴェンツ・クランツ( Adventskranz) と呼ばれるもので、どちらもドイツが発祥の地とされています。

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クリスマスツリーの星飾り

クリスマス市は1310年にミュンヘンで開かれたのがドイツ最古(従って世界最古)とされていますが、現在最も有名なのはミュンヘンから北に100km程北の所にあるニュルンベルクのものです。全国各地の市では子どもへのプレゼントとしてのお菓子、おもちゃ、クリスマスツリーにつるすガラス玉や星が屋台を飾ります。

アドヴェンツ・クランツとはモミなどの木の枝、またはワラを輪の形に編み(ここまでですと、クリスマス・リースとして日本でも知られているようですが)、天井からつるしたり、机に置いたりしてその上にロウソクを4本立てるものです。待降節の間の第1日曜日に1本目のロウソク、第2日曜日に1本目と2本目の、第3日曜日に1,2,3本目の、そしてクリスマス直前の日曜日に4本全てのロウソクに火を灯すのです。

この作法の原型は19世紀の中頃のハンブルクの牧師、J.H. ヴィヒェルンが考案したものとされています。言い伝えによると、彼は自分が院長を務めていた貧窮児童院の子どもに何度も「いつクリスマスが来るの?」と聞かれたので、礼拝堂の燭台に20本の赤く小さなロウソクと4本の白く大きなロウソクを立て、1日に1本ずつ、そして日曜日には大きなロウソクに火を灯して、子供たちにクリスマスまであと何日か分かるようにしたということです。

その後、同僚たちの提案により、ロウソクを木製の輪の上に立てたり、日曜日ごとの4本だけにしたりという修正があって、現在に伝わっているのです(残念なことにこのアドヴェンツ・クランツの写真が私の手元にありません。ぜひ皆さんで「Adventskranz」とネット上で検索をしてみてください。美しい写真が幾つも見つかります)。

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ドイツ流の雪ダルマ人形

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ミュンヘン市庁舎前のクリスマス市

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