働きながら学びたい学生を応援する「学内ワークスタディ」で商学部第二部へ

「学内ワークスタディ」は、働きながら学びたい学生を応援する福岡大学商学部第二部の新しい制度です。応募者の中から選考された学生たちは、昼は週35時間を上限として七隈キャンパス内で大学事務スタッフとして勤務し、夕方からは商学部第二部の授業を受けます。平成28年4月のスタートから半年。今回、運営を担当する教授陣3人と第1期生となる1年次の学生6人のうち5人が会し、「学内ワークスタディ」の魅力や仕事の感想などについて語りました。

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「学内ワークスタディ」の狙い 社会で働く素養をいち早く身に付け、将来の可能性を広げてほしい

近年、福岡大学の夜間学部に進学したいというニーズが増加しています。「そうした要望に応えていくのが本学の役割です。さらに、経済的な理由で進学を断念する学生が増えているという時代背景を踏まえ、学内ワークスタディ制度を導入するに至りました」と語るのは、第二部委員の藤野真准教授。「初年度は応募者30数人の中から学業成績の基準を満たした5人を選考し、4月からスタートしました。本制度は学業を優先するように配慮されているのはもちろん、職場が大学内ですので余裕をもって授業に出席できるのが大きな特徴です」。現在、福岡県出身の学生のほか、熊本県や長崎県、愛媛県、遠くは岩手県出身の学生も本制度を利用しているとのこと。「学内ワークスタディに可能性を感じ、学びたい一心で本学を受験してくれた学生が集まっているので、有意義な大学生活が送れるようしっかりとサポートしていきます」と藤野第二部委員は話します。

大学事務スタッフとして勤務する近藤さん(左)と芦生さん(右)

「本制度は経済的な支援という一面もありますが、学生たちが大学で働くことで社会人に必要な素養を早い段階で身に付け、自身の人間形成の場として役立ててもらうということも狙いの一つです」。そう説明するのは、第二部主事を務める笹川洋平教授。「採用期間は1年間ですが再選考を経て更新が可能ですので、基本的には4年間続けてもらいたいと考えています。そうなると学内ワークスタディは長期的な有償インターンシップと捉えることができます。各職場の上司や先輩たちと接し、礼儀やさまざまな知識や技能を習得することで、夢を見つけ、卒業後の可能性を広げてほしいと願っています」と話します。

学生インタビュー 「学内ワークスタディ」に参加する第1期生5人がこれまでの感想を語ってくれました

善 河月さん(地域ネット推進室勤務)
60周年記念館(ヘリオスプラザ)2階にある「地域交流サロン」の受付を主に担当しています。本サロンは、本学周辺地区の方々と本学の学生が日常的に交流し、地域の課題解決などに取り組んでいくための拠点です。私は熊本県出身で、福岡についての知識はほとんどありませんでしたが、職務上、地域のことを知っておく必要があります。そこで時間を見つけては、本で歴史や文化を調べたり、自転車で街を探索したり、受付の仕事で地域の方々と話す中で情報収集することも出てきました。こうした日々を送るうちに地域に対する見方が変わり、自分が暮らす街に親しみを覚え、自然と地域の活性化やボランティアに興味を持てるようになりました。この仕事がきっかけで、他学部の友人や先輩と出会えたことも大きな収穫です。

 

芦生 和也さん(人事課勤務)
学内でアルバイトをしている方や非常勤講師の方の給与計算、交通費の算定といった事務を担当し、パソコンでの入力作業が主な仕事です。学内ワークスタディに参加する前は、パソコンを使った経験はほとんどありませんでしたが、現在はスムーズにタイピングできるまでに操作技術が上達しました。職員の方からアドバイスを受け、心掛けているのは、常に仕事の効率を考えることです。それを意識するようになってからは、例えば複数枚の資料をコピーする際はコピー機の機能を駆使する、伝票や書類を整理する時はクリップを先に並べておくなど、仕事を手早く終わらせられるよう工夫する癖が付きました。ただ言われたことをこなすのではなく、頭を使って行動する重要性に気付けたのは成長できた部分だと感じています。

 

近藤 有莉花さん(人文学部事務室勤務)
人文学部の先生から依頼された講義資料の印刷や、文系センター棟に置いてあるコピー機の備品管理などを担当しています。私が常駐する文系センター棟内の人文学部共同研究室には、さまざまな学科の先生が来られ、気軽に声を掛けてくださいます。時には冗談交じりの楽しい会話をしてくださったり、時には勉強の相談に乗ってくださったりする中で、先生方との距離の近さを感じるようになりました。そのおかげで興味の幅が広がり、もっと勉強して多くの知識を吸収したいという意欲も高まりました。また、事務職員の方が身近にいて、丁寧に職務の指導をしてくれるほか、大学生になって一人暮らしを始めた私に適切なアドバイスをしてくれるなど、いつも親身に接してくださることも大変心強く思っています。

 

阿部 太一さん(スポーツ科学部事務室勤務)
私は、貴重品預かり室(第二記念会堂1階)で体育の授業を受ける学生の貴重品を管理する仕事やトレーニング室の受付を担当しています。もともと人見知りで引っ込み思案な性格でしたが、学内ワークスタディに参加し、日々多くの人と接する中で初対面の人と話すことにも慣れてきたと実感しています。自分が所属している商学部以外の学生や先生方と接する機会があり、貴重な出会いの場にもなっています。入学当初から大学生になったからには、人脈を広げ、さまざまな経験を積み、多くの刺激を受けながら成長したいと考えていたので、まさに私に適した環境に身を置けていると感じています。学内ワークスタディ学生として働きながら、学生の本分である学業にも力を入れ、実のある4年間を過ごしたいと考えています。

 

吉田 悠花さん(スポーツ科学部事務室勤務)
私は9月から採用され、阿部さんと同じ業務を担当しています。入学後にアルバイトをしていた大手飲食チェーン店と比べ時間の融通が利くので、勉強時間の確保が容易になりました。飲食店では試験時期であっても休みが取りづらかったのですが、学内ワークスタディは試験休みが気兼ねなく申請でき、効率良く予習や復習ができています。自分で時間を調整しながら仕事ができるので体力的にも精神的にも随分助かっています。そのおかげで勉強に対する意欲が損なわれず、充実した生活が送れるようになったと実感しています。

学生たちと教授陣による座談会 「学内ワークスタディ」のメリットや今後の要望、課題など、自由な意見交換が行われました

左から藤野准教授、笹川教授、飛田准教授

司会進行は、第二部主事の笹川洋平教授。補佐役は第二部委員の藤野真、飛田努の両准教授。まずは先生方が学生たちに仕事のしやすさや大変さについて質問しました。すると、意外にも全員から「さほど苦ではない」という答え。特に高校時代にアルバイト経験のある阿部さんと近藤さんは、「今の方が伸び伸び仕事できている」と話します。

次に「朝9時前に出勤して、授業が終わる21時過ぎまで、ほぼ一日大学にいて疲れませんか?」と質問。これも全員から「正直、疲れます」という答え。その一方で各々、「でもそれは覚悟の上」「お金を稼ぎながら勉強できているので、多少きついのは仕方ない」「通勤や通学の手間を考えると、普通のアルバイトより大学内で働く方が無駄な移動時間がないから効率が良いと思う」といった意見。中でも吉田さんからは、「仕事は土日が休みでプライベートの時間がきちんと確保されているので、十分リフレッシュできています」という意見がありました。その言葉に他の学生たちも大きくうなずきます。

給料の使い道については、「学費」「生活費や小遣い」という答えに。一人暮らしの学生の中からは、「学費は親が払ってくれていて、家賃や食費など生活面は全て自分でやり繰りしています。学内ワークスタディは働ける時間の上限が週に35時間と決まっていて、給料の額もほぼ毎月一定なので計画が立てやすいです。社会保険が完備されている点も魅力です」という話も出ました。

学生たちの緊張がすっかりほぐれて、和やかな雰囲気になった頃、本制度に対する要望や課題についての質問が投げ掛けられました。より良い制度運営を目指す先生方にとってリアルな学生の意見は、その実現のための貴重なヒント。先生方は興味津々な様子で、一人一人の声に耳を傾けていました。すぐさま出たのは時給について。「できればもう少し上がるとうれしいです(笑)」と学生全員が本音を口に。地域交流サロンで働く善さんからは、「地域交流のイベントに携わったり、地域の方に声を掛けてもらえる機会が増えたりと、仕事が楽しくやりがいも感じているので、来年度も同じ部署に配属してもらいたいです」という声も。さらに、人事課に勤務する芦生さんは、「今の仕事には満足していますが、もっといろんな仕事がしてみたい。専門的な仕事にもチャレンジしてみたいです」と話します。

最後に、夜間の大学を目指す高校生や進学に悩む高校生に向けてメッセージをお願いしました。すると、「学内ワークスタディを活用すれば経済的な理由があっても大学で勉強できます」「試験期間は休め、勉強がおろそかになることがないので安心です」「大学の運営に携わっているという自信が持て、充実した学生生活を送れる環境があります」「福大は友だちができやすいのでお薦めです」などなど。学生たちの実体験を踏まえた温かいエールが送られ、笑顔で座談会は終了しました。