J1サガン鳥栖へ入団の藤嶋選手が意気込みを語る

J1サガン鳥栖への入団が決定した藤嶋栄介選手(スポーツ科学部4年次生)が、入団にあたっての意気込み等について、インタビューに答えてくれました。インタビューアーは本学の卒業生でフリーライターの田端慶子氏。

取材記事をご覧ください。

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■ 取材記事 ■

身長187cm、体重82kg。恵まれた体格と高い身体能力が魅力的な福岡大学サッカー部の守護神・藤嶋栄介選手(スポーツ科学部4年次生)が、来期からJ1サガン鳥栖でプレーする。ここで、彼の身体能力の高さを示す"数字"を紹介しておきたい。藤嶋はGKながら50m5秒9のスピード、垂直飛び85cmのジャンプ力がある。これは、俊足FWとうたわれた福岡大学卒業生の永井謙祐選手(現:名古屋グランパス)の5秒8、そして男子バレーボール選手の平均75~85cmに迫る数字。おそらく、JリーグのGKの中でもずば抜けた能力だろう。藤嶋は「陸上をしていた父、バレーボールをしていた母から『私たちのおかげだから、感謝するように』と言われます。そのとおりだと思うのですが、まだ長所を出し切れていない自分がいます」と照れくさそうに笑う。

一見、天才肌に思える彼だが、周囲に彼のことを聞いてみると、漏れ聞こえてきたのは「努力家」「ストイック」「練習の虫」という意外な言葉。能力の高さにおごらず、ひたむきに練習に取り組む真摯な姿勢はチーム内でも一目置かれており、それが彼の能力を一層輝かせていることが想像できる。

中学時代は持ち前の身体能力を生かし、部活動でバスケットボール、クラブチームでサッカーという二刀流。メインはバスケットボールで、高校はバスケットボールでの進学を希望していた。しかし、中学3年を前にサッカーの年代別日本代表に招聘されると、運命は大きく変わった。進学した大津高校(熊本)でU-16日本代表に呼ばれると、早くもプロへ進む道が示された。だが、顧問の先生と"日本代表"という将来像を語り合い「今のプレーではJリーグで通用しない。総理大臣杯で優勝していた福岡大学(当時)なら、九州に残っても大学トップレベルの経験ができるのではないか・・・」と進学を決意する。

だが、大学ですぐにレギュラーになれるわけでもなく、1年はBチーム(いわゆる二軍)。「練習もうまくいかず、自分のプレーにも自信がない状態で、本気でサッカーをやめようと思っていました」。仲間に引き止められ、もう一度・・・と踏ん張り、人一倍練習で汗を流した。そして2年からレギュラーになると、全国大会の予選となる九州選手権でMVPを獲得。「メンタル面の弱さから、自分で自分を殺していることに気づきました」と、前に踏み出すきっかけを掴んだ。

大学3年の夏からサガン鳥栖の特別指定選手にも登録され、一足先にJ1の舞台を経験。普通の大学生では経験し得ない経験を通して、心・技・体すべてにおいて磨かれた。入団にあたり、藤嶋は「大学でできても、プロでは通用しない。それがたくさんあることを分かっていくので、やるしかないという気持ちです。Jリーガーになることが目標ではなく、日本代表やW杯に出ることが目標ですので、入団はスタートです」と語気を強める。

最後に、才能を努力によって花開かせた藤嶋にまつわる幼少期のエピソードを披露したい。母親にレプリカユニフォームをせがんだ時のこと。藤嶋は買ってもらえず、代わりにこう言われたという。「日本代表もJリーグも、あんたが向こうから持ってきてもらえる選手になりなさい」と。努力して手に入れることの尊さ。それを最初に教えてくれたのは、お母さんだったのかもしれない。

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■文章・写真:フリーライター 田端 慶子 氏 ■

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