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南極通信⑬―第58次南極地域観測隊の活動を写真付きで紹介―(2月10日~13日)

2017.02.24

福岡大学理学部・林政彦教授(地球圏科学科)が、第58次日本南極地域観測隊の一員(福岡大学海外研究員)として、平成28年11月末にオーストラリア西海岸フリーマントルで南極観測船「しらせ」に乗船。12月22日、南極大陸に上陸し、約40日間、無人航空機を用いた大気微粒子観測、大気放射・降雪・雪面観測などを実施し、南極大陸上の大気と氷床の相互作用が環境変動に及ぼす影響を調査しました。2月13日現在南極大陸を離れ、リュッツォ・ホルム湾をしらせに乗って航行中です。

なお、本コラムは、南極における日本の南極地域観測隊の活動の様子を、第58次南極地域観測隊員である林教授の観測隊生活を通じて、広く社会に広報することを目的に紹介しています(日時は現地日時)。

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(バックナンバー)

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日没後の地平線の輝き

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地球影の中の月

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ホノール氷河

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クロロフィルいっぱいの海

【2/10】夜、「夕日が美しい」との艦内放送(こんな放送が入るのは、自衛艦多しといえども、多分しらせだけでしょう)。カメラを抱えて寒空の下。確かに美しい。

日没の瞬間のグリーンフラッシュを狙うが、なかなか、日没しない。光の屈折のおかげだろう。その代わりに、日没後(?)地平線がさまざまな色に輝くのが望遠レンズ越しに見られた(写真)。

反対側には、満月が昇っている。低高度でも明るい黄色。エアロゾルが少ないからだろう。地球影の中に満月が浮かぶ(写真)。

エアロゾルが少ないといえば、南極では寒いにもかかわらず吐く息が白くならないことを聞いたことがあるだろうか?ところが、雪上車の排気ガスの臭いのするところでは、普通に息が白くなる。写真にとっても嘘っぽくなるので写真は無し。動画ならOKか。これも南極の空気中にエアロゾルが少ないからなのだが、なぜエアロゾルが少ないと息が白くならないのか?

【2/11】 しらせは、リュッツォ・ホルム湾の氷海を西へ行ったり、東へ行ったり。海底地形の調査と氷海の下に水温や塩分などを測る観測装置を投入する観測などを実施。リュッツォ・ホルム湾沿岸には、昭和基地のあるオングル島をはじめ、スカルブスネス、スカーレンなど露岩地帯がいくつかある。氷河も見られる。氷河にもいろいろある。きれいに流れるような氷河もあれば、氷がグズグズに崩れて流れていくホノール氷河(写真)のような氷河もある。リュッツォ・ホルム湾クルーズのような一日だった。

しらせは、1m程度の海氷を連続的に割りながら航海を続けている。しらせがスクリューでかき混ぜる海水を見て、その色が緑色であること(写真)に気付いた。しらせの海水風呂の色もやや緑がかっていて、磯の臭いがする。多分クロロフィルの色だろう。12月のころの海水の色とはずいぶん違うという印象。夏の間の日射でプランクトンが大発生しているのではないだろうか。そして、これは、夏の南極のエアロゾルのもととなるDMS(硫酸ジメチル)の大量発生につながっているはず。その影響は、エアロゾルの観測データに現れているようにも見える。生物と大気の連鎖を改めて印象付ける。

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シェッゲ

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傾いた岩盤

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ラングボブデの氷蝕地形

【2/12】第1観測室の観測装置は、1台を除いて順調。不調の1台については、10日の夜にメールを送ったので、休み明けの13日に何らかの連絡が来るだろうと待ちの一手。

本日もしらせは、クルージング(?)。昭和基地より高緯度にまで進んでいる。昭和基地の南のラングホブデ、スカルブスネス、スカーレンなどを間近に望む。ハムナ氷瀑や高さ400mのほぼ垂直に切り立ったシェッゲの壁(写真)が見える。32次隊の時、遠足(?)で訪れた。その時の記憶は今も鮮明だ。

スカルブスネスは、岩盤の層構造が斜めに傾いた姿が露だ(写真)。数億年の地殻変動の結果を垣間見る。なだらかなラングホブデの地形(写真)は、氷河時代に氷河に削られた跡だ。ダイナミックな地球の歴史を南極の大地は見せてくれる。
 

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海氷上の放射霧

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下弦の月

【2/13】58次越冬隊員を除く57次越冬隊員と58次夏隊員のほとんどが昭和基地からしらせに戻ってきた。しらせの食事、ミーティングが賑やかになった。

しらせは、リュッツォ・ホルム湾内を詳細に調査・航行している。しらせが通った後の氷が割れたところからは、夜、「湯気」が立ち上る。夜になると空気が放射冷却で冷えて、海水温(氷点下2℃以上)より低温になり、相対湿度が100%を超える(水蒸気過飽和)ためである。2月14日未明には、停船しているしらせの付近の風はなぎ、霧が立ち上るようになった(写真)。そして、「北」の空に昇る下弦の月。欠け際にはクレーターもはっきり確認できるようになった(写真)。ちなみに、南半球では、月、太陽は、北半球とは逆に、右の方から昇り、左に沈む〔東から昇り北の空で最も高くなり(北中)、西に沈む〕。

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