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福岡大学の研究

〔研究者コラム〕「夏季シーズンに身につけよう!『遊泳術』と『自己保全能力』(第5回)」―大学での水泳教育の現状1―

2017.08.22

7月に入り、プール開きや海開きが各地で行われています。今回のコラムでは、競技コーチング・水泳指導が専門の福岡大学スポーツ科学部・田場昭一郎准教授が、「夏季シーズンに身につけよう!『遊泳術』と『自己保全能力』」をテーマに全6回にわたってお伝えします。

●田場准教授の研究実績やプロフィルはこちら
 
<バックナンバーと今後の更新予定>
第5回:大学での水泳教育の現状1
第6回:大学での水泳教育の現状2
 

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スポーツ科学部の学生は、体力に自信のある学生がほとんどですが、これまでのコラムでも書いたように「水泳に苦手意識を持っている」という学生も多く存在します。また年々、泳げない学生が増加傾向にあるのも事実です。しかし水泳は、スポーツ科学部の必修科目なので泳げるようにならなければ卒業できません。授業では、平泳ぎで「より長く楽に泳ぐこと」、クロールで「より速く泳ぐこと」を目標にしています。

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(参考)水泳教室等「習い事」の経験別の対象者(2015年に水泳を履修した学生)の特性

2015年度の水泳Iを履修した学生の授業前後の平泳ぎの泳力テストの結果と、水泳教育に関するアンケート調査では、主観的に「泳げる」と回答した学生は65.5%、「泳げない」と回答した学生は34.5%でした。しかし、平泳ぎのノルマ(3分間で125m以上)の達成率は、「泳げる」と回答した学生が54.5%、「泳げない」と回答した学生が7.9%でした。また「泳げない」と回答した学生のうち68.8%が「あおり足」でした。つまり「平泳ぎの足ができていないこと」を認識していない学生が多いことがわかりました。

授業の結果、履修した学生の3分間の平泳ぎの平均距離は、2015年度(授業前:123.7m、授業後:137.3m)、2016年度(授業前:115.8m、授業後:137.8m)と向上しました。1週間に1度の授業で泳距離は飛躍的に伸び「あおり足」が改善されました。また、水泳を履修し「習い事」として水泳経験のある学生とない学生について、双方の体型(身長や体重)に有意差はないが、水泳経験が泳力(平泳ぎとクロールの記録)に影響していました。水泳は日常にない運動形態なので、経験を積めばすぐに上達し、一度泳げるようになったら自転車に乗る感覚と同様に一生忘れることはありません。

義務教育における水泳の授業は、競泳種目を教材として用いて、小・中・高校では25mプールで授業を行います。したがってクロールや平泳ぎで25mプールを端から端まで泳ぎ切ることができれば「泳げる」と認識している児童や生徒がほとんどです。しかし、その泳力は約30秒程度で、流れのある河川や波の高い海、足のつかない環境でも「泳げる」ということにはつながりません。

「水に逆らうことなく水の流れに身を任せるように自然体でいられること」

泳げるということ、それは距離や時間だけで判断できるものではないということです。

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