〔研究者コラム〕「夏季シーズンに身につけよう!『遊泳術』と『自己保全能力』(第2回)」―競技としての水泳―

7月に入り、プール開きや海開きが各地で行われています。今回のコラムでは、競技コーチング・水泳指導が専門の福岡大学スポーツ科学部・田場昭一郎准教授が、「夏季シーズンに身につけよう!『遊泳術』と『自己保全能力』」をテーマに全6回にわたってお伝えします。

  • 田場准教授の研究実績やプロフィルはこちら
     
  • <バックナンバーと今後の更新予定>
    第1回:日本における水泳の歴史
    第2回:競技としての水泳
    第3回:小学校における水泳指導
    第4回:器材を使用した水泳指導
    第5回:大学での水泳教育の現状1
    第6回:大学での水泳教育の現状2

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水泳は、基本的には水の中を泳ぐことですが、速さを競うことを目的とした競技として「競泳」が挙げられます。他にも「水球」「飛込」「シンクロナイズドスイミング」「オープンウォータースイミイング」「日本泳法」などが公式競技種目として存在します。

競泳は、陸上競技、体操競技、フェンシングとともに、第1回オリンピック・アテネ大会(1896年)から正式種目として行われている競技です。当時の100m自由形では、クロール以外(現在の背泳ぎや平泳ぎやバタフライに類似した泳法)で泳ぐ選手がたくさんいたようです。また水球も、第2回オリンピック・パリ大会(1900年)から、団体正式種目としてサッカーやラグビーなどと同時に実施され、オリンピックの球技種目として最も歴史のある競技です。

国際オリンピック委員会(IOC)は、2017年6月10日に2020年のオリンピック・東京大会の新種目として16種目を追加することを決定しました。競泳では「男子800m自由形」「女子1500m自由形」「男女混合400mメドレーリレー」が採用されるようです。

これまでのオリンピックにおける競泳のメダル獲得総数(94個)は、体操競技(98個)に次いで2番目に多く、獲得した金メダル22個のうち12個を平泳ぎで獲得しています。鶴田義行選手は、第8回オリンピック・アムステルダム大会(1928年)と第9回オリンピック・ロサンゼルス大会(1932年)の200m平泳ぎで、日本人初の連覇を成し遂げました。また第10回オリンピック・ベルリン大会(1936年)で日本人女性初の金メダリストに輝いたのも前畑秀子選手の200m平泳ぎです。この時の真夜中のラジオ中継で「前畑ガンバレ!前畑ガンバレ!」と20回以上も連呼した放送は、現在も語り草となっています。

このような歴史的背景から、平泳ぎは「ニッポンのお家芸」と言われています。

現在の男子200m平泳ぎの世界記録保持者は渡辺一平選手ですが、前世界記録保持者は山口観弘選手で、北島康介選手が第28回オリンピック・アテネ大会(2004年)、第29回オリンピック・北京大会(2008年)において2種目連覇(100m・200m平泳ぎ)を成し遂げたのも平泳ぎでした。昨年の第31回オリンピック・リオ大会(2016年)での金藤理絵選手の金メダル(200m平泳ぎ)は皆さんの記憶にも新しいのではないでしょうか?

今年の世界水泳選手権大会は、7月23日から7月30日まで、ハンガリー(ブダペスト)で開催されます。ニッポンのお家芸である平泳ぎ、東京オリンピックでの活躍が期待される若手選手、そして東京オリンピックで新種目となる男女混合400mメドレーリレーなどを視野に入れて観戦すると面白いかもしれません。

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