〔研究者コラム〕「夏季シーズンに身につけよう!『遊泳術』と『自己保全能力』(第3回)」―小学校における水泳指導―

7月に入り、プール開きや海開きが各地で行われています。今回のコラムでは、競技コーチング・水泳指導が専門の福岡大学スポーツ科学部・田場昭一郎准教授が、「夏季シーズンに身につけよう!『遊泳術』と『自己保全能力』」をテーマに全6回にわたってお伝えします。

  • 田場准教授の研究実績やプロフィルはこちら 
     
  • <今後の更新予定>
    第1回:日本における水泳の歴史 
    第2回:競技としての水泳 
    第3回:小学校における水泳指導 
    第4回:器材を使用した水泳指導
    第5回:大学での水泳教育の現状1
    第6回:大学での水泳教育の現状2

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小学校水泳指導授業サポート

水泳は、学校体育の授業科目の中でも水を媒体とした特殊な運動です。したがって苦手意識を持つ児童も多く、またスイミングスクールの経験が影響して、児童の泳能力が二極化しているようです。父母懇談会の保護者から「自分が泳ぐのが苦手だったから子供をスイミングに通わせ、大学生になった息子に感謝された」という話を聞きました。

小学校における水泳の授業は、以前は夏休みを挟んで1・2学期の中で行われていたのですが、現在は1学期で終わる学校がほとんどで、学習指導要領に基づいた指導内容について、限られた時間内で実施することが困難な状況なのかもしれません。

小学校の各段階での指導内容は以下のようになっています。

【小学校1・2年生】
「水浴び」と称して、水に漬かって移動し、浮くことと潜ること、水中で息を吐くことなどが中心です。

【小学校3・4年生】
「浮く・泳ぐ運動」と称して、さまざまな浮き方を習得した上で、基本姿勢の"けのび"を身に付けます。さらに補助具を使ってキックとストローク動作の習得、呼吸をしながらの初歩的な泳ぎを身に付けることです。

【小学校5・6年生】
「水泳」と称してクロールと平泳ぎの2種目で続けて長く泳ぐことを目標として運動の楽しさや喜びに触れることです。

福岡大学では、「水と親しみ、泳ぐ楽しさを伝授」をテーマに、平成22年から小学校の授業に水泳部の学生を派遣し、水泳の授業をサポートする取り組みを、全学年を対象に行っています。水泳という特殊な運動を通じて、世代の異なる児童とコミュニケーションを取って指導する姿、まさにソーシャルスキルとコミュニケーション能力を高めるための社会教育の実践現場がそこにあります。

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