〔研究者コラム〕ー「未来の貿易と社会貢献(第4回)」コンテナが空を飛ぶー

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田代 安彦 教授

商学部の田代安彦教授が全5回シリーズでお届けするコラム「未来の貿易と社会貢献」の4回目です。

田代教授はかつて出光興産に勤務し、約11年間中東を中心に海外5カ国に駐在。エネルギー分野での通商を担当していました。1990年クウェート駐在時には湾岸戦争に遭い、家族と共にイラク軍の人質になった経験もあります。

商学部では海外での豊富な実務経験を生かし「貿易商務論」を担当。実業と学業の架け橋を目指して活動しています。

田代教授のプロフィルや研究情報はこちらをご覧ください。

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貿易において、物流というのは多くの工夫ができる分野です。

輸出入の物流は、陸、海、空による輸送手段の多様化、そしてインターネットの登場で、飛躍的に進歩しています。特に、音楽は創作者から即時愛好家にダウンロードされます。しかし、世界貿易物流の90%以上は、依然、大量安価な船舶輸送です。

以下画像の陶器は、佐賀県有田町の隣、波佐見の焼き物で、イランの古物商より購入したものです。首の部分が、ちょっと変わっていますが、何のためのものかご存知でしょうか?

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この陶器は、コンプラー(仲買)瓶と呼ばれ、江戸時代唯一貿易を許された出島(長崎県)から、醤油やお酒、穀物等の輸出用に造られたものです。口の部分は、布や皮などを蓋としてひもで縛る際抜けない形になっています。今では、こうした容器も軽量化されて、コンテナ輸送の大型化、スピード化が進み、船の燃料もガス利用等多様化が進んでいます。

ゼミの学生と博多港ターミナルの見学をした際、現場の方から「コンテナが風で飛ばないか心配で...」とのお話がありました。上海から届いた輸入品で一杯のコンテナを、積み荷を降ろして空にした後、日本からの輸出貨物が少ないため、それを空のまま中国に戻しているそうです。実は、運賃は往路で往復の採算をとるため、復路に荷物があれば、結果的に運賃は安あがり(半額程度)になります。九州の美味しい物などは中国でも大人気です。今後冷凍、冷蔵技術の改善等で、九州の特産品がより多くアジアに輸出される工夫が出来ればと思います。

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博多港ターミナルのコンテナ

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